一般社団法人日本リハビリテーション工学協会は、「注意勧告:車椅子・支援機器ユーザーのみなさまへCOVID-19の予防」と題した資料を同協会のウェブサイトに掲載しました。この資料は、リハビリテーションの研究・設計を行う米国Beneficial Design社の資料を同協会が日本語に訳したものです。
今回は、この資料の内容をご紹介していきます。対策のポイントは、大きく3つ。それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
石けんで「最低20秒間」手を洗う
1つ目は、手洗いについてです。
新型コロナウイルスは、車いすのハンドリム(手で車いすを動かす際にに持つ部分)や頻繁に手が触れる支援機器の表面に長時間存在できると考えられています。そのため、手洗いはきわめて重要です。外から帰宅した際には、石けんで最低20秒間手を洗いましょう(米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインに準拠)。車いすの駆動で肌荒れをしている場合には、手洗いブラシ(爪ブラシ)を使うことも良いそうです。
また、手の清潔を保つための1つの方法として、車いすを動かす際にグローブを着用することが紹介されています。タイヤを動かすと、車いすが移動する面(地面、床面)の全てに、手が触れることになるためです。グローブを使用する際は、グローブの表面にウイルスが付着している可能性があるため、置き場所には注意しましょう。また、グローブの内側にウイルスが付着しないよう、着用前に手を洗うことが大切です。
車いすを洗車布またはアルコールシートで清潔に
2つ目は、車いすの消毒についてです。
ウイルスは、私たちが触れるすべての場所に潜んでいる可能性があります。そのため、車いすのハンドリムとタイヤも、消毒することが大切です。
具体的には、2枚のタオル(またはペーパータオル)を石けんで湿らせてつくる「洗車布」や「アルコールシート」を用いるのがお勧めです。両側のハンドリムを拭きながら、家の前で車いすを駆動すると消毒できます。自分一人での対応が難しい場合は、誰かに車いすをゆっくり押してもらうことで拭きやすくなりますよ。
タイヤを掃除するときにも、同様の方法を用いることが大切です。あわせて、ブレーキレバー、シートクッションの前方フレームなど、車いす上で定期的に手が触れる部分も拭きましょう。肘掛け、手押しハンドル、着脱式フット・レッグサポートがある場合は、それらも忘れずに消毒します。
電動車いすの場合は、ジョイスティックやコントローラー、その他、手が触れる部分を消毒しましょう。プラスチックの多くは、漂白剤を含むクリーナーを使っても問題ありません。
そして、清掃後は再度、自身の手を洗うことをお勧めします。
人との距離は2m以上確保、マスクの着用も
3つ目は、人からの飛沫を避ける対策についてです。
車いすユーザーは、立っている人よりも低い位置で座っているため、自分たちより高い位置にいる人と話すと、唾液の飛沫にさらされる可能性が高くなります。多くの専門家は、飛沫のリスクを軽減するため、周囲の人との距離を2m以上保つことを推奨しています。
また、人からの飛沫を防ぐために、マスクも着用しましょう。自身の手が、口や鼻に直接触れないようにすることで感染を防ぐ効果も期待されます。
新型コロナウイルスへの感染リスクを出来る限り最小限に留めるため、ぜひ3つのポイントを意識してみてくださいね。
一人での対応が難しい場合もあるかと思いますので、その場合は、周りの方々の力も借りながら、対応していきましょう。(遺伝性疾患プラス編集部)