「分身ロボットカフェDAWN ver.β」オープン、新しい働き方の提案も

遺伝性疾患プラス編集部

難病や障害を理由に外出困難な人々が分身ロボット「OriHime」「OriHime-D」を遠隔操作し、サービススタッフとして働く実験カフェ「分身ロボットカフェ」。6月21日に「分身ロボットカフェDAWN ver.β(ドーン バージョンベータ)」常設実験店が、東京・日本橋エリアにオープンしました。

このカフェを主宰・運営する株式会社オリィ研究所は、「分身ロボットカフェDAWN ver.β」を通じて、「動けないが働きたい」という気持ちを持ちながら、病気や障害を理由に外出が困難な人々たちに雇用を生み出すこと、また、人々の社会参加を妨げている課題をテクノロジーによって克服することを目指しています。

今回は、「分身ロボットカフェDAWN ver.β」のご紹介はもちろん、後半では、分身ロボットのパイロットという新しい働き方について、オリィ研究所のご担当者さまに伺ったお話をご紹介します。

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画像は、公式ウェブサイトより

3つのエリアで楽しめる!それぞれのポイントは?

今回オープンする「分身ロボットカフェDAWN ver.β」は、Aエリア「OriHime Diner(オリヒメ・ダイナー)」、Bエリア「BAR & Tele-Barista(バー・アンド・テレバリスタ)」、Cエリア「CAFE Lounge(カフェラウンジ)」の3つのエリアに分かれています。

  • Aエリア

OriHimeが客席にきて接客。遠隔で働くOriHimeパイロットとの会話を楽しみながら、スイーツやドリンクを楽しむことができます(予約必要)。

  • Bエリア

元バリスタのパイロットが「テレバリスタOriHime × NEXTAGE」を遠隔操作。好みにあったコーヒーとチョコレートを選び、目の前でコーヒーを淹れてくれます(一般予約開始は7月上旬予定)。

  • Cエリア

『TAILORED CAFE』のスペシャルティコーヒーや軽食を楽しめる席。Aエリア・Bエリアへ入ることはできないのですが、様子を見ることはできます(予約不要)。

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画像は、公式ウェブサイトより

バリアフリー対応、食事支援面での対応も

「分身ロボットカフェDAWN ver.β」の特徴として、ぜひ押さえておきたいポイントが、設備面のバリアフリー対応です。カフェ入り口のスロープは12分の1以下の勾配に抑えられ、店内はフルフラットに設計し、回遊導線・什器(じゅうき)類も車いす利用者に配慮。ストレッチャータイプ・電動タイプを含む、車いす利用者の入場が可能です。また、人工呼吸器などの医療機器、電動車いすの充電用に電源貸し出しも実施しています(※介助者・ヘルパーの方も、入場チケットが必要なのでご注意ください)。

また、併設のトイレは全個室ベビーキープ付き。オストメイト・介助ベッド敷設のバイアフリートイレも設置されているので、どなたでも安心してご利用頂けます。

その他、店内各所に設置される10種類の椅子には車いすも含まれており、席を選ぶ際に車いすを選択して座ることも可能です。車いす利用者でない方も、気軽に実物の車いすに触れることができます。車いすを特別なものではなく親しんで体験して欲しいという意図が込められているそうです。

嚥下障害などで食事支援が必要なお客様へは、「ミキサー」「チョッパー」「シリコンスプーン」などの調理器具を貸し出していますし、ドリンクメニューには嚥下対応ドリンクもありますよ(※器具類の利用については、事前予約が必要です)。

「分身ロボットによる新しい働き方、一緒に開拓していきましょう!」オリィ研究所

オリィ研究所では、今回オープンする「分身ロボットカフェDAWN ver.β」のように、病気や障害を理由に外出が困難な人たちへ、分身ロボットのパイロットという新しい働き方を提案しています。プロジェクト名は「AVATAR GUILD(アバターギルド)」です。

分身ロボットは、PCやスマホから操作することができます。そのため、入院中の方や、重度の障害により首から下を動かすことができない方はもちろん、育児や介護、感染防止などで外出が困難な方々であっても、分身ロボットを通じて、カフェや受付での接客・案内、会議へ出席、講師や秘書など、さまざまな仕事を行うことができます。

今回は、オリィ研究所のご担当者さまに、「AVATAR GUILD」について、お話を伺いました。

現在、パイロットとして働いている方々は、どういったきっかけで応募されているケースが多いですか?

SNSやメディアなどを通じて、オリィ研究所やアバターギルドのことを知り、応募してくださるケースが多いです。

また、先輩パイロットの方々が多方面で活躍していますので、その様子をSNSやメディアなどでご覧になって、「自分もチャレンジしたい」と考え、ご応募頂く方も多いですね。

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画像は、公式ウェブサイトより
今まで働いたことがない場合でも、パイロットに応募できると伺いました。その場合、事前に準備しておくべきことなどはありますか?

応募前にご準備いただくものは、特にありません。

仕事が始まる前に、必ず業務に必要な研修を受けて頂きますし、事前面談も行います。また、実際に、今まで働いたことがない方で、パイロットとして活躍している方がたくさんいらっしゃいますので、安心してご応募頂ければと思います。

パイロットでは、未経験の仕事にも挑戦できますか?

はい、未経験の仕事にも挑戦できます。

パイロットとして活躍している方の中で、今までの経験を生かしたお仕事をされている方もいらっしゃいますし、未経験のお仕事に挑戦している方も多くいらっしゃいますよ。

仲間のパイロットやスタッフがサポートしますので、未経験のお仕事でも、安心して挑戦して頂けます。

パイロットとして活躍されている方々の年齢層は、どのくらいですか?

学校を卒業したばかりの若い方からご年配の方まで、年齢層は幅広いです。そのため、年齢に関係なく挑戦して頂けます。

パイロット同士の交流はありますか?

はい、パイロット同士の交流も盛んです。

普段から、チャットやSNSを通じて、パイロット同士でコミュニケーションを取っています。仕事についてアドバイスしあったり、互いに励ましあったり、仲間の活躍を喜んだりなど、活発にコミュニケーションを取っていますよ。

その他、OriHimeを使って、スポーツやゲームを一緒に楽しむこともありますし、パイロットの主催する部活動のような活動もあります。住む場所や年齢などの壁を超えて、楽しく、温かい交流が生まれているように感じますね。

最後に、病気や障害を理由に外出が困難な方々へメッセージをお願い致します。

AVATAR GUILDは、病気や障害などさまざまな理由で外出が困難な方の新しい働き方を開拓するプロジェクトです。

私たちは、皆さんが継続して仕事を続けられるように、親身なカウンセリングとアフターサポートを準備していますので、安心してご応募頂ければと思います。例えば、就労経験があるものの、突然の障害によってこれまでと同じように働くことが難しくなった方には「もう一度社会に出て無理なく働く」ためのサポートを、これまで就労経験が全くない方には「働く」ために必要な心構えや事前のトレーニングなどを行っています。

ぜひ一緒に、分身ロボットを用いた新しいテレワークの働き方、社会参加のあり方を開拓していきましょう!


分身ロボットのパイロットという新しい働き方に興味を持たれた方は、オリィ研究所の「AVATAR GUILD」公式ウェブサイトをご覧になってみてくださいね。(遺伝性疾患プラス編集部)

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