18トリソミー症候群

遺伝性疾患プラス編集部

18トリソミー症候群の臨床試験情報
英名 18 Trisomy syndrome
別名 トリソミー18、エドワーズ症候群、Eトリソミー症候群
発生頻度 出生児3,500人~8,500人に1人
海外臨床試験 海外で実施中の試験情報(詳細は、ページ下部 関連記事「臨床試験情報」)
発症年齢 生まれつき
性別 男:女=1:3
主な症状 胎児期からの成長障がい、身体的特徴、先天性心疾患など
原因遺伝子領域 第18番染色体
治療 標準的な新生児の集中治療、心臓手術、食道閉鎖の手術など
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どのような病気?

人間の細胞には46本の染色体がありますが、そのうちの44本は、常染色体と呼ばれるもので、1番から22番のセットを父親と母親から1セットずつ受け取ったものです。残りの2本は性染色体と呼ばれ、XYだと男性、XXだと女性になります。18トリソミー症候群は、18番の常染色体が1セットあるのに加え、もう1本余分に、もしくはもう1本の一部が余分に、生まれつき体中の細胞に存在する状態です。専門的な言葉では「18番染色体全長あるいは一部の重複に基づく先天異常症候群」といいます。18番染色体の一部だけがトリソミーになっている「部分トリソミー」や、トリソミーの細胞と正常な細胞が混在している「モザイク型」の人もいます。

Chromosomes In Humans

主な症状は、胎児期からの成長障がい(子宮内発達遅延:IUGR)、身体的特徴(後頭部の突出、耳の変形、耳が低い位置にある、額や背中の多毛、あごが小さい、手指が重なる特徴的な握り方、短い胸骨、揺り椅子状の足底など)、先天性心疾患(心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存などが多いが、大動脈狭窄、両大血管右室起始などの複雑型心疾患もある)、肺高血圧、呼吸器に関する合併症(横隔膜弛緩症、上気道閉塞、無呼吸発作など)、消化器に関する合併症(食道閉鎖、鎖肛、胃食道逆流など)、泌尿器に関する合併症(腎奇形、そけいヘルニアなど)、筋肉や骨格に関する合併症(多指症、合指症、関節の屈曲拘縮、側弯症など)、難聴、悪性腫瘍(ウィルムス腫瘍、肝芽腫)などで、多岐にわたります。部分トリソミーやモザイク型の人は、これらの症状が全体的に軽症の傾向がありますが、モザイク型で重症の人もいます。

この病気は、今のところ、9割近くの患者さんが1歳を迎えずに亡くなり、ほとんどの患者さんが2歳までに亡くなる、非常に重篤な病気ですが、10歳以上長く生きる患者さんもいます。

18トリソミー症候群は、小児慢性特定疾病の対象疾患となっています。

何の遺伝子が原因となるの?

第18番染色体が通常2本であるところ、3本存在することにより、さまざまな遺伝子が正しく働かなくなることで発症します。

前述のように、通常、細胞に染色体は父由来23本、母由来23本の2セット計46本あります。代々、46本の染色体を保つためには、受精前の卵子や精子では、23本1セットの染色体となる必要があります。この、23本に分かれる段階で、何らかの理由で18番染色体が2本一緒に卵子もしくは精子に入ってしまう場合があります。この現象を「染色体不分離」と言います。こうした卵子/精子が受精すると、18トリソミーとなります。染色体不分離と、母親が高齢であることは、関連があると知られています。

Trisomy 1

Trisomy 2

また、染色体が23本に分かれる前の過程で、異なった2本の染色体がそれぞれちぎれて、お互いの染色体断片を交換して再びくっつけてしまう「転座」が起こる場合があります。そのような生殖細胞からは、18番染色体の一部分だけがトリソミーになっている、部分トリソミーが生じる可能性があります。

Translocation

さらに、受精の段階では正常な染色体数でも、受精卵から細胞分裂をしていく初期の段階で染色体不分離が起こる場合があり、その場合には18トリソミーと正常細胞が体内に混在するモザイク型となります。

どのように診断されるの?

出生前の超音波検査で、胎児の発育不全が見られた場合、または母親の血液でのNIPT(新型出生前診断)の結果などで18トリソミーが疑われた場合、羊水穿刺もしくは絨毛採取を行い、これを用いて「蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)」「染色体マイクロアレイ検査(CMA)」などの、染色体を調べる検査を行います。こうした検査で、第18番染色体が3本あることが確かめられると、18トリソミー症候群と確定診断されます。また、モザイク型かどうかの診断を確定させるために、出生後に染色体を調べる必要がある場合もあります。

どのような治療が行われるの?

非常に重篤な病気である18トリソミー症候群ですが、標準的な新生児の集中治療、心臓手術、食道閉鎖の手術などの治療が行われ、こうした治療により、これまでより長く生きられるようになったというエビデンスが蓄積してきています。

また、ゆっくりではありますが、この病気の赤ちゃんは命ある限り成長し、親やきょうだいがあやすと笑うなどのコミュニケーションをし続けます。こうした中で医療者は、重篤な症状を正しく家族に伝え、この病気で生まれた子にとって、常に最善の過ごし方ができるように、刻々と変化する病状に合わせて、医療的、療育的、心理的支援を行っていきます。

どこで検査や治療が受けられるの?

日本で18トリソミー症候群の診療を行っていることを公開している、主な施設は以下です。

※このほか、診療している医療機関がございましたら、お問合せフォームからご連絡頂けますと幸いです。

患者会について

18トリソミー症候群の患者会で、ホームページを公開しているところは、以下です。

参考サイト

・参考文献:医学書院 医学大辞典 第2版

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