CFC症候群

遺伝性疾患プラス編集部

  • 2020.11.13 公開 (最終更新: 2020.11.27)
  • CFC症候群
英名 CFC syndrome
別名 cardio-facio-cutaneous症候群
日本の患者数 約100~200人
子どもに遺伝するか 家系の報告はほとんどないが、遺伝する(常染色体優性遺伝)
発症年齢 生まれつき
性別 男女とも
主な症状 特徴的な顔立ち、心臓の症状(肥大型心筋症など)、皮膚の症状(湿疹など)、精神発達遅滞など
原因遺伝子 BRAF、KRAS、MAP2K1、MAP2K2など
治療 対症療法
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どのような病気?

CFC症候群は、心臓、顔、皮膚、髪の毛をはじめとした体の多くの部分に症状が現れる遺伝性疾患です。CFCとは、英語の病名につくCardio-Facio-Cutaneous(心臓-顔-皮膚)の頭文字を取ったものです。症状は、人によりさまざまですが、特徴的な症状として、心臓の症状は、心房中隔欠損症、肥大型心筋症など、顔の症状は、薄い眉毛や斜めに下がった目、高いおでこ、くぼんだ鼻筋、後方に傾いた耳などの特徴的な顔立ちなど、皮膚の症状は、湿疹、角化異常(例:角質層が厚くなる)、魚麟癬(皮膚の表面が硬くなり剥がれ落ちる)など、その他、まばらで細い巻き毛、成長・発達障害、精神発達遅滞などが挙げられます。

おなかの中にいるときに、母親にしばしば羊水過多がみられるという報告があります。特徴的な顔立ちは、新生児の頃から見られますが、心臓の異常はすぐに診断されないこともあります。乳児期に、摂食困難、成長障害、胃食道逆流症、嘔吐、便秘が見られることがしばしばありますが、小児期には改善します。低身長となった場合、成長ホルモンの欠乏が原因の1つに挙げられます。目の異常は、視力低下につながる可能性があります。中耳炎を繰り返すという報告もあります。筋緊張低下、学習障害、発達遅延(主に運動と発話)などの神経学的異常は、ほとんどの子どもに見られます。また、てんかん発作を起こす可能性もあります。

CFC症候群でみられる症状

99~80%でみられる症状

心臓弁の形態異常、視力異常、上向きの鼻孔、眉毛がうすい、心房中隔欠損症、脆い髪の毛、粗な顔立ち(顔の細かい構造がはっきりとしない)、乾燥肌、しわの多い肌、乳児期の成長障害、乳児期の摂食困難、細い髪の毛、膨らんだ頬、全般的発達遅滞、知的障害、長い顔、長い眼瞼裂、筋緊張低下、手のひらと足の裏の角化による肥厚、肺動脈弁狭窄症、低身長、分厚い耳介、眼窩上隆起の未発達

79%~30%でみられる症状

尺骨の異常、両頭頂径狭窄、海綿状血管腫、停留精巣、手のひらのしわが深い、へこんだ鼻梁、下向きの眼瞼裂、爪の形成不全、脳波の異常、内眼角贅皮、前頭隆起、全身性の色素沈着、高い額、高い口蓋、過伸展性皮膚、両眼隔離症、頬骨の形成不全、魚鱗癬、長い人中、首の後ろのヘアラインが低い、低く後ろに傾いた耳、巨頭症、大耳症、複数のカフェオレ斑、複数のそばかす、近視、眼振、漏斗胸、早産で生まれる、眼瞼下垂、脊柱側弯症、首が短い、鼻が短い、髪の毛の成長が遅い、髪の毛がまばら、まつげがまばら、斜視、翼状頚

29%~5%でみられる症状

大脳皮質萎縮、外向きの肘、構音障害、消化管の機能異常、外反膝、水頭症、水腎症、肥大型心筋症、リンパ浮腫、視神経萎縮、末梢軸索性神経障害、弛緩性皮膚、粘膜下口蓋裂

1%~4%でみられる症状

眉毛がない、脳性視覚障害、巻き毛、長頭症、成長障害、乳幼児期の胃ろう造設経管栄養、全身性筋緊張低下、聴覚障害、多汗症、角質増殖症、毛孔性角化症、耳たぶが大きい、耳介低位、額が狭い、多数の母斑、まぶたの肥厚、突き出た額、てんかん発作、盾状胸、厚い唇

割合は示されていないがみられる症状

歯列の異常、まつげがない、耳たぶの前部にしわがある、脳梁の形成不全、アトピー性皮膚炎、球根状の鼻、小指が曲がっている、便秘、深い人中、骨の成熟の遅れ、不正咬合、胃食道逆流症、過伸展性の指、筋緊張亢進、前頭葉の形成不全、小顎症、足の裏のしわが多い、眼球運動失調症、開咬、開口、視神経異形成、骨減少症、鳩胸、母親が羊水過多、後方に回転した耳、進行性の視力喪失、眼球突出、比較的大きな頭、脾腫、舌尖、嘔吐

日本にCFC症候群の患者さんは、100~200人程度いると推定されています。発症頻度はわかっていません。発症は、男女ともにみられます。先天性疾患なので、子どものうちに症状に気付きますが、大人でも症状はみられます。予後は症状に依存し、さまざまです。

CFC症候群は、コステロ症候群、ヌーナン症候群という、他の遺伝性疾患と、特に乳児期の症状がとてもよく似ています。ただし、コステロ症候群では、がんの発症リスクが高いのですが、CFC症候群には、そのような特徴は見られず、白血病などの悪性腫瘍の合併は、まれです。

CFC症候群は、国の指定難病対象疾患(指定難病103)、および、小児慢性特定疾病の対象疾患です。

何の遺伝子が原因となるの?

CFC症候群の原因となる遺伝子は複数あり、今のところ、変異が見つかっている遺伝子は、BRAF(染色体位置:7q34)、KRAS(染色体位置:12p12.1)、MAP2K1(染色体位置:15q22.31)、MAP2K2(染色体位置:19p13.3)の4つです。CFC症候群患者さんの75〜80%程度で、BRAF遺伝子の変異が見られます。10〜15%で、MAP2K1またはMAP2K2の変異が見られます。KRAS遺伝子の変異が見られるのは5%未満です。これら4つの遺伝子に変異が見られず、まだ原因遺伝子が特定されていないCFC症候群の人もいます。

これら4つの遺伝子は、いずれも「Ras/MAPKシグナル伝達経路」と呼ばれる、細胞の重要な仕組みで働くタンパク質の設計図となる遺伝子です。BRAF、KRASは、作られるタンパク質も遺伝子と同じ名前なのですが、MAP2K1とMAP2K2から作られるタンパク質は、それぞれMEK1、MEK2という名前になります。Ras/MAPKシグナル伝達経路は、主に、細胞の成長と分裂(増殖)、細胞の成熟と特定の機能獲得(分化)、細胞の移動、および細胞の自己破壊(アポトーシス)に関わっており、正常に発達して生まれるために不可欠です。これらの遺伝子のいずれかに変異があると、厳密に制御されるべきシグナル伝達が変化し、臓器や組織の発達が妨げられて、CFC症候群の兆候や症状を引き起こすと考えられています。

CFC症候群と症状が非常によく似ている、コステロ症候群とヌーナン症候群も、Ras/MAPKシグナル伝達経路で働く遺伝子の変異によって引き起こされることがわかっており、この3症候群を含む関連疾患は、まとめて「RASopathies(RAS病)」と呼ばれることがあります。

CFC症候群の遺伝子変異は、大部分が両親では変異がなく、子どもで新たに発生するものです(新生変異)。したがって、この病気の「家系」がみられる例はほとんどありません。CFC症候群の患者さんが子どもを持った場合には、常染色体優性遺伝形式で遺伝するため、親から子への遺伝は50%の確率であり得ます。

常染色体優性遺伝形式

どのように診断されるの?

CFC症候群には、医師がCFC症候群と診断するための「診断基準」があります。したがって、病院へ行き、必要な問診や検査を受けた後、主治医の先生がそれらの結果を診断基準に照らし合わせ、結果的にCFC症候群かそうでないかの診断をすることになります。

具体的には、特徴的な臨床症状がみられ、該当する病因遺伝子(KRAS、BRAF、MAP2K1(MEK1)、MAP2K2(MEK2))のいずれかに変異が認められる場合、もしくは、「特徴的な顔立ち」「精神発達遅滞」「心疾患」「多彩な皮膚症状」の4項目を全て満たす場合、CFC症候群と診断されます。

CFC症候群は、成人以降に診断される例が確認されていないため、この診断基準は、未成年にのみ適用されています。

どのような治療が行われるの?

今のところ、CFC症候群を根本的に、つまり、遺伝子から治すような治療法は見つかっていません。患者さんごとに症状の組み合わせや強さが違うため、その人の症状に合わせて対症療法がおこなわれます。心疾患や悪性腫瘍の早期発見と早期治療は、その後の症状の改善に重要です。長期にわたって通院し、栄養・成長・発達、視覚、聴覚、心臓、骨格の診察などを定期的に受けて、必要な治療を受けていきます。

例えば、胃ろうが必要な乳児には、胃ろうを増設して栄養補給が行われます。心臓専門医による定期受診で、心臓手術が必要となれば、手術を受けます。てんかん発作のある患者さんは、神経内科医に定期受診します。定期的な眼科検査で、視力に問題がある場合、眼鏡などで矯正します。皮膚の状態も定期的に検査を受け、乾燥やかゆみには保湿ローションを使用したり、感染の兆候があれば抗生物質を使ったりします。内分泌専門医への紹介も必要になる場合があります。発達の遅れに対しては療育が重要となります。

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