ダウン症候群

遺伝性疾患プラス編集部

英名 Down Syndrome
別名 トリソミー21 (通称:ダウン症)
発生頻度 出生児600人~800人に1人
子どもに遺伝するか 遺伝する可能性はある
発症年齢 生まれつき
性別 男女とも
主な症状 筋肉の緊張が低い、特徴的な顔立ち、発達の遅れなど
原因遺伝子領域 第21番染色体(長腕のダウン症候群発症領域)
治療 対症療法(症状に対するタイムリーな治療)
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どのような病気?

人間の細胞には46本の染色体がありますが、そのうちの44本は、常染色体と呼ばれるもので、1番から22番のセットを父親と母親から1セットずつ受け取ったものです。残りの2本は性染色体と呼ばれ、XYだと男性、XXだと女性になります。ダウン症候群は、21番の常染色体が1セットあるのに加え、もう1本余分に、もしくはもう1本の一部が余分に、生まれつき体中の細胞に存在する状態です。専門的な言葉では「21番染色体全長あるいは一部の重複に基づく先天異常症候群」といいます。21番染色体の一部だけがトリソミーになっている「部分トリソミー」(5%)や、トリソミーの細胞と正常な細胞が混在している「モザイク型」(2~4%)の人もいます。ダウン症候群は、新生児に最も多く見られる染色体異常で、平均寿命は、50歳を超えています。ダウン症候群の男性は生殖能力がない場合がほとんどです。ダウン症候群の女性が子どもを産むと、この病気が遺伝する可能性はありますが、生きて生まれないケースが多いと知られています。

主な症状は、筋肉の緊張が低い、関節が弛緩する、中等度の精神遅滞、発達に遅れがみられる(低身長)、頭が小さい、後頭部の皮膚がたるんでいる、活気がない、特徴的な顔立ち(丸く平坦な顔、目じりがつり上がっている、短い鼻、口角が下向き、舌が出ている、小さい耳など)、手のひらに一直線に深いしわがある、短い手指、小指が内向きに曲がっている、環軸椎(頸椎の1番目と2番目)の脱臼・亜脱臼、など、人によりさまざまです。また、先天性心疾患(心内膜床欠損症や心室中隔欠損症など)、消化器系の疾患(十二指腸閉鎖や鎖肛など)、白血病、神経系に関する合併症(けいれん発作、20代を中心に社会性に関する能力の退行様症状など、早期発症アルツハイマー病)、目に関する合併症(屈曲異常、白内障、斜視など)、耳鼻咽喉に関する合併症(中耳炎、難聴、難聴、閉塞性無呼吸など)、歯科的問題、排尿機能障害、甲状腺機能異常、性腺機能不全なども見られることがあります。

ダウン症候群は、小児慢性特定疾病の対象疾患となっています。

何の遺伝子が原因となるの?

第21番染色体が通常2本であるところ、3本存在することにより、さまざまな遺伝子が正しく働かなくなることで発症します。

前述のように、通常、細胞に染色体は父由来23本、母由来23本の2セット計46本あります。代々、46本の染色体を保つためには、受精前の卵子や精子では、23本1セットの染色体となる必要があります。この、23本に分かれる段階で、何らかの理由で21番染色体が2本一緒に卵子もしくは精子に入ってしまう場合があります。この現象を「染色体不分離」と言います。こうした卵子/精子が受精すると、21トリソミー(=ダウン症候群)となります。染色体不分離と母親が高齢であることは、関連があると知られていますが、ダウン症候群患者さんの母親は、若い(35歳以下)人が過半数です。その理由に、年齢とは無関係に起こる、DNAの化学変化(低メチル化)が関係していると示す報告もあります。染色体には長腕と短腕があるのですが、長腕のダウン症候群発症領域がトリソミーになることが発症につながり、そこに位置するRCAN1遺伝子およびDYRK1A遺伝子が、複数の組織の発達に影響を及ぼす可能性があると示唆する論文も2015年に報告されました。

また、染色体が23本に分かれる前の過程で、異なった2本の染色体がそれぞれちぎれて、お互いの染色体断片を交換して再びくっつけてしまう「転座」が起こる場合があります。そのような生殖細胞からは、21番染色体の一部分だけがトリソミーになっている、部分トリソミーが生じる可能性があります。

さらに、受精の段階では正常な染色体数でも、受精卵から細胞分裂をしていく初期の段階で染色体不分離が起こる場合があり、その場合には21トリソミーと正常細胞が体内に混在するモザイク型となります。

どのように診断されるの?

出生前の超音波検査で、胎児の発育不全が見られた場合、または母親の血液でのNIPT(新型出生前診断)の結果などで21トリソミーが疑われた場合、羊水穿刺もしくは絨毛採取を行い、これを用いて「蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)」「染色体マイクロアレイ検査(CMA)」などの、染色体を調べる検査を行います。こうした検査で、第21番染色体が3本あることが確かめられると、21トリソミー症候群と確定診断されます。また、モザイク型かどうかの診断を確定させるために、出生後に染色体を調べる必要がある場合もあります。

どのような治療が行われるの?

ダウン症候群は、今のところ、病気の原因となる染色体を治すことはできません。それぞれの人にそのとき出ている症状や年齢に応じて、複数の診療科が連携して適切な検査を行い、タイムリーに治療を行っていきます。心臓や腸の手術が行われる場合もあります。住居のある自治体の療育(発達支援)施設と連携を図ったり、次の子どもがダウン症候群になる確率などの遺伝カウンセリングを行ったりしている医療機関もあります。

どこで検査や治療が受けられるの?

日本でダウン症候群の診断や治療を行っている、主な施設は以下です。

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参考サイト

参考文献:医学書院 医学大辞典 第2版