【きほんの質問】導入する「正常遺伝子」とは誰の遺伝子?

遺伝性疾患プラス編集部

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「遺伝子治療によって、正常な遺伝子を挿入する場合、その正常遺伝子は誰の遺伝子なのですか?」(下町のパパ)

遺伝性疾患に関わる皆さまから寄せられた質問のご紹介と、先生方によるご回答に移ります。

前半は「きほんの質問」、後半は「ご自身の病気に関わる質問」をご紹介させて頂きます。


遺伝子には、生きていくために必要なタンパク質の設計図となる「遺伝情報」が書き込まれています。遺伝子治療では、体の外から正常な遺伝子を入れることで、病気で失われたタンパク質が作られるようにします。

自分以外の遺伝情報を体に入れるというと、たとえば骨髄移植をイメージする方もいるかもしれません。骨髄移植では、HLA型やその他の情報を加味したうえで移植に適したドナーから提供されたものを移植します。一方で、遺伝子治療に使用される「ベクターコンストラクト」、つまり、遺伝子の運び屋を作製する場合、多くのヒトでみられる正常遺伝子の配列情報を、人工的に合成することが多いです。

あらかじめベクターの中に導入したい遺伝子を組み込み、それを目的の細胞に入れると、導入した遺伝子から正しいタンパク質が作られるようになります。

したがって、誰か個人の遺伝子の配列を導入するということはありません。多くの人が持っている配列を人工的に作成しそれを遺伝子治療では使用しています。

※座談会の内容は、2021年2月(収録当時)の情報です。