【自身の病気に関する質問】AADC欠損症に効果があった遺伝子治療は、他の先天性代謝酵素欠損症にいつ頃応用される?

遺伝性疾患プラス編集部

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「AADC欠損症に効果があった遺伝子治療について、他の先天性代謝酵素欠損症へは、応用にまだまだ時間がかかるか、応用できないものなのでしょうか?」(鮫さん)

AADC欠損症に対する遺伝子治療では、AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクターが用いられました。AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクター遺伝子治療は、多くの遺伝性疾患へ応用できる可能性があり、活発に開発研究が進められています。

AADC欠損症の場合は、脳の線条体というところに遺伝子導入できれば治療効果が得られるため、比較的難易度が低かったと言えます。

自治医大の小児科が開発を進めている次の疾患は、グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症ですが、脳全体への遺伝子導入が必要で、まだ動物モデルでの技術開発段階です。

先天性代謝性疾患では、肝臓が標的になる場合がかなりあると思われますが、代表的なものがオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症です。

海外では遅発性の成人例を対象として、既に遺伝子治療の臨床試験が実施されていますが、自治医大小児科では新生児期での遺伝子治療を目指し研究を進めています。その場合はAAVベクターの門脈内投与が考えられています。

いずれの場合も、数年以内に臨床試験の実施が可能と思われます。

※座談会の内容は、2021年2月(収録当時)の情報です。