【自身の病気に関する質問】コフィン・シリス症候群など、世界の患者数が数百人しかいないような希少疾患に対する遺伝子治療は実現しにくい?

遺伝性疾患プラス編集部

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「先日、1歳のわが子がARID1A遺伝子の変化からくる指定難病のコフィン・シリス症候群と診断されました。多数の先天性疾患や先天異常を指摘され、IRUD(未診断疾患イニシアチブ)に登録をお願いし確定しました。確定した事で、子どもの生涯のフォローがしやすくなったので悲観はしていません。ただ、遺伝子異常なので対症療法しかなく、根本的な治療にはなりません。わが子のように希少疾患で、患者数も世界で150~200人と症例が少ないとなると遺伝子治療はなかなか実現しにくいものでしょうか?」(お鍋がおいしいさん)

「遺伝子治療」というと、生まれつき持っている「遺伝子の変異を治す」治療と思われている方も少なくないかもしれません。現在の遺伝子治療は遺伝子の変異を治すというより、正常な遺伝子を体に導入することで、遺伝子の変異により体内で不足している物質を増やすという治療が大半です。生まれつき臓器や体の一部に変化のある疾患(先天性心疾患など)では、既に出来上がっている体の一部の変化まで遺伝子治療で治すことは難しいと考えられます。また、全身の遺伝情報をすべて書き換えることはとても大変なことです。

国際治験のデータベースを調べましたが、コフィン・シリス症候群の遺伝子治療の治験はありませんでした。

診断を受けている患者数も治療開発の大きなポイントですが、遺伝子導入の安全性の確立や、ヒトの体に応用できる技術なのかといった点もポイントになると考えます。

他の疾患に目を向けてみると、AAV(アデノ随伴ウイルス)ベクターに入れることができる遺伝子のサイズは4キロベース(4,000文字)程度が限界とされています。酵素の欠損による疾患の治療に用いる遺伝子の多くはこのサイズに収まります。

例えば、ムコ多糖症に代表されるライソゾーム病などです。他には、筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病等の神経疾患、耳鼻科疾患や代謝疾患等にも応用が可能であると考えられ、一部の疾患では治療薬の開発が進んでいます。

※座談会の内容は、2021年2月(収録当時)の情報です。