症状抑制時間の延長維持を助ける経口薬
エーザイ株式会社は、レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるウェアリング・オフ現象の改善を効能・効果とするパーキンソン病治療剤「エクフィナ(R)錠50mg」(一般名:サフィナミドメシル酸塩、以下、エクフィナ)を、2019年11月に発売しました。
日本のパーキンソン病患者数は約20万人と推計され、高齢化に伴い年々増加する傾向にあります。パーキンソン病治療剤として、脳内で不足したドパミンを補うレボドパ含有製剤が広く用いられています。しかしながら、病気の進行に伴い、病気の症状が抑えられている時間(オン時間)が短くなり、次の服薬前に症状が現れて動けなくなる「ウェアリング・オフ現象」を認める場合があります。症状抑制時間が短くなることは、日常活動に影響をおよぼすことから、生活の質(QOL)を低下させる大きな要因となっています。
1日1回の経口剤であるエクフィナは、モノアミン酸化酵素B(MAO-B)を選択的に阻害する薬です。この作用により、分泌されたドパミンの分解を抑制してドパミンの脳内濃度維持を助けます。また、電位依存性ナトリウムチャネル阻害作用を介した脳内グルタミン酸放出抑制作用(非ドパミン作動性作用)を併せ持っています。
国内治験で症状抑制時間の延長を認める
今回の承認は、ウェアリング・オフ現象を有する日本人パーキンソン病患者さんを対象に、レボドパ含有製剤併用下でエクフィナの有効性および安全性を、プラセボと比較した二重盲検第2/3相試験「ME2125-3試験」、ならびに長期安全性および有効性を評価した非盲検第3相試験「ME2125-4試験」などの成績に基づいています。
ME2125-3試験では、投与24週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量について、エクフィナ投与グループ(50mg、100mg)とプラセボ投与グループで比較し、統計学的に有意なオン時間の延長が確認されました(50mgは1.39時間、100mgは1.66時間の延長)。エクフィナ投与群で確認された主な副作用(発現率3%以上)はジスキネジアおよび幻視でした。
ME2125-4試験では、投与52週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)について、エクフィナ投与グループ(50mgまたは100mg)においてオン時間の延長が認められ(1.42±2.72時間)、エクフィナの長期投与においても有効性の継続が示されました。主な副作用(発現率3%以上)は、ジスキネジア、転倒および便秘でした。(遺伝性疾患プラス編集部)