脊髄性筋萎縮症の治療薬「スピンラザ」、臨床試験の最新情報

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 脊髄性筋萎縮症は乳幼児での遺伝学的原因による死亡数が多い疾患
  2. ヌシネルセン高用量使用時の安全性と有効性を評価する「DEVOTE試験」が開始される
  3. 小児投与の「SHINE試験」では、最長6年近い治療を受けた患者さんの運動機能が改善あるいは安定化

SMA高用量使用の安全性・有効性を調べる「DEVOTE試験」開始

米バイオジェン社は、脊髄性筋萎縮症(以下、SMA)の治療薬「スピンラザ」(一般名:ヌシネルセン)の臨床試験に関する最新情報を公開しました。

SMAは、筋力と運動に不可欠な「運動ニューロン」と呼ばれる脊髄内の重要な神経細胞の消失(脱落)を引き起こします。遺伝子変異による希少な神経筋疾患で、進行し重篤化すると、筋萎縮と衰弱に至ります。1万人に1人が出生時にSMAと診断され、乳幼児での遺伝学的原因による死亡数が多い疾患の1つです。

ヌシネルセンは、「アンチセンス・オリゴヌクレオチド」と呼ばれる核酸医薬の1種です。この薬を髄腔内注射で脊髄液に投与すると、SMAの人では消失してしまっていた運動ニューロンが生き残れます。同剤は国内承認され治療に使用されていますが、同社は今回、同剤の高用量使用時の治療の有効性を評価するために「DEVOTE試験」を新たに開始することになりました。

遅発型SMA患者さんで最長6年にわたる運動機能の改善と安全性を示唆

この試験は、乳児から成人まですべての年齢層のSMA患者さんを対象とし、予定登録者数は126人。第2および第3相の無作為化・比較対照・用量漸増型試験で世界中の50施設で実施されます。高用量群は、15日の間隔をあけて50mgの負荷投与用量を2回投与し、その後維持用量として28mgを4か月毎に投与。対照群は、FDA(アメリカ食品医薬品局)が承認した用法用量である12mgの負荷投与用量を4回投与後、12㎎の維持用量を4か月毎に投与されます。

同社が実施した臨床試験の1つ、「SHINE試験」の最新情報も公開されました。この試験は2~15歳で治療を開始した24人の患者さんを対象とし、乳児期以外に発症した「遅発型」のSMAの患者さんでは、最長6年間近く運動機能の改善または安定化を経験していることが示されました。有害事象のため治療を中止した患者さんはおらず、新たに安全上の問題はありませんでした。(遺伝性疾患プラス編集部)

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バイオジェンジャパン プレスリリース