DOK7遺伝子を用いた遺伝子治療開発に向け、独占ライセンス契約締結

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 東京大学とAmplo Biotechnology社がDOK7遺伝子に関する独占ライセンス契約を締結
  2. DOK7遺伝子は、神経筋接合部の形成不全を呈する「DOK7型筋無力症」の発症と関連
  3. さまざまな神経筋疾患や加齢性の筋力低下に対する遺伝子治療の開発につながる可能性

運動神経と骨格筋をつなぐ神経筋接合部の形成に重要な遺伝子「DOK7」

東京大学は、DOK7遺伝子を用いた疾患の遺伝子治療および予防に関する特許(日米欧)の独占ライセンス契約を、Amplo Biotechnology社と締結しました。

人間の運動機能には、運動神経を介した骨格筋収縮の緻密な制御が必要です。運動神経と骨格筋は、神経筋接合部で連結されています。この接合部が喪失すると、呼吸を含めた運動機能が喪失します。神経筋接合部の形成に必須なのが「Dok-7」と呼ばれるタンパク質。そのヒト遺伝子(DOK7)の異常によって、神経筋接合部の形成不全が起こる病気「DOK7型筋無力症」を、研究グループはこれまでに発見しています。

ライセンス締結に先立ち行ったマウス実験で、DOK7遺伝子治療によって、神経筋接合部の神経筋接合部を後天的に拡張できることを実証し、また、DOK7型筋無力症を発症した疾患モデルマウスへの遺伝子治療により、運動機能の改善に成功していました。

今回、DOK7遺伝子治療の実用化を進めるAmplo Biotechnology社が設立され、当該遺伝子治療の社会実装に必要な独占ライセンス契約を東京大学と締結しました。これにより、DOK7遺伝子治療による神経筋接合部の形成不全を伴う多様な神経筋疾患や加齢性の筋力低下に対する治療法の開発が期待されます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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