炎症がどうして活性化されるかを分子レベルで解明
愛媛大学は、家族性円柱腫症の発症と関連があるとされる遺伝子「CYLD」に関する、新たな炎症促進のメカニズムを発見しました。
円柱腫症は、CYLD遺伝子の機能欠損によって、炎症が起こり、頭皮などの皮膚に円柱腫と呼ばれる良性腫瘍が生じるのが特徴です。家族性の場合、常染色体優性遺伝という遺伝形式で発症します。
ヒトの体内では、「NF-κB」(エヌエフカッパビー)と呼ばれる分子が、さまざまな炎症に関わっています。NF-κBの活性は「MIB2」「CYLD」という遺伝子からつくられたタンパク質の働きを介しています。CYLD遺伝子が変異すると円柱腫につながることが知られていましたが、その仕組みは明らかになっていませんでした。
研究グループは、MIB2がCYLDをユビキチン化(「分解しなさい」というマークがつくこと)し、CYLDが分解されると、NF-κBが活性化され、炎症が強く起こることを明らかにしました。さらに、家族性円柱腫症の患者さんで見つかったCYLD変異体は、変異していないCYLDよりもユビキチン化を積極的に受けやすい、つまり、分解されやすいということがわかりました。(遺伝性疾患プラス編集部)