デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬の医師主導治験始まる

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 開発中の「エクソン・スキップ治療」に用いる核酸医薬の安全性などを確認する治験
  2. 世界初の「エクソン44スキップ」の患者さんに対する治療薬
  3. 病気の進行を抑える効果が期待される

筋機能の改善が期待できる治療法「エクソン・スキップ治療」

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下、DMD)治療薬「NS-089」「NCNP-02」を用いた医師主導の治験を開始しました。

DMDは、ジストロフィン遺伝子の変異が原因で、筋の細胞膜からジストロフィン・タンパク質が失われ、徐々に筋力低下が進む難病で、男児に発症します。現在、進行を遅らせる目的でステロイド剤による治療が行われています。

開発中の治療法「エクソン・スキップ治療」は、正常なジストロフィンに比べるとタンパク質の一部が短縮するものの、機能を保ったジストロフィンが作られることにより筋機能の改善が期待されています。現在承認(2020年3月25日に、条件付き早期承認)されている、このタイプの治療薬の対象となる患者さんは「エクソン53スキップ」の人に限られており、別のエクソンを標的とした薬剤の開発が望まれています。

エクソン44スキップのDMD患者さん6人を対象に実施

今回の治験は、NCNPが日本新薬株式会社と共同研究を進めてきたアンチセンス核酸医薬品「NS-089」「NCNP-02」を、人間に初めて投与する医師主導治験。この薬は、「エクソン44スキップ」対象で、NCNP病院において6例のDMD患者さんに対して行われます。主要評価項目である安全性の他、薬物動態、ジストロフィン・タンパク質の発現確認等の有効性についても検討されます。

これまでに得られた非臨床試験の結果から、エクソン44スキップに応答する変異形式のDMD患者さんの細胞における有効性は確認されており、病気の進行を抑えることが期待されます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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