脊髄性筋萎縮症の治療薬「リスジプラム」、2・3型対象の治験で良好な結果

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 脊髄性筋萎縮症は、筋萎縮や筋力低下を起こす遺伝性疾患
  2. リスジプラムは、SMNタンパク質の産生が増加するよう設計された経口治療薬
  3. 投与開始12か月時点の運動機能評価で良好な結果

運動神経および筋肉機能をよりよくサポートするための治療薬

スイスのロシュ社は、2~25歳の2型または3型である脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy、以下SMA)の患者さんを対象として、開発中の治療薬「リスジプラム」の効果を調べる臨床試験(SUNFISH試験)において、良好な結果が得られたことを発表しました。

SMAは、遺伝性の神経筋疾患で、脊髄の運動神経細胞の変性によって筋萎縮や筋力低下を起こします。乳児期から小児期に発症するSMA患者さんの数は10万人あたり1~2人です。SMAに関与しているのが「SMN」と呼ばれる遺伝子。SMN遺伝子はSMN1とSMN2の2つあります。どちらもSMNタンパク質を作ることができるのですが、SMN2からは、少量のSMNタンパク質しか作られません。SMN1からは、十分な量のSMNタンパク質が作られるのですが、SMN1遺伝子に変異があると、SMN2遺伝子が正常でも、SMNタンパク質の量が足りず、SMAが発症すると知られています。

リスジプラムは、中枢神経系および全身のSMNタンパク質を増量させる作用が期待される薬で、経口投与が可能。運動神経および筋肉機能をよりよくサポートするために、SMN2遺伝子からの、正常なSMNタンパク質の産生が増加するよう設計されています。日本では2019年3月に希少疾病用医薬品指定を受けています。

投与により有意な改善、新たな安全性の問題は確認されず

投与開始12か月時点で、リスジプラムは、プラセボ(偽薬)と比較して、運動機能評価で有意な改善を示しました。また、臨床試験中に試験からの脱落につながる薬剤関連の安全性の所見(副作用など)は確認されませんでした。また、新たな副作用も見られなかったとしています。(遺伝性疾患プラス編集部)

関連リンク