Hes7遺伝子がリズムを合わせて発現することで節目がつくられる
京都大学は、脊椎動物の背骨などにみられる節目構造「体節」をつくるメカニズムにおいて、先天性脊柱側弯症の原因遺伝子として知られているLunatic fringe遺伝子(以下、Lfng)が重要な役割を果たしていることをつきとめました。
脊椎動物では、受精卵から体が形づくられる発生の過程で、背骨・肋骨などの節目構造の元となる、体節と呼ばれる組織が周期的に形成されます。この体節形成の周期をコントロールするメカニズムは分節時計と呼ばれ、「Hes7」と呼ばれる遺伝子同士が発現タイミングをそろえる仕組みが関わっていることが知られています。
Hes7遺伝子発現のコントロールにLfng遺伝子が関係
研究では、新しく開発した技術により、Hes7遺伝子が使われる量(発現量)を1細胞レベルで計測できる実験系を樹立。その結果、糖転移酵素の一種である「Lfng」と呼ばれる遺伝子が、細胞たちに働きかけることにより、発現タイミングを同期させることが判明しました。
今回の研究成果は、先天性脊柱側弯症などの遺伝疾患の発生メカニズムや、ホタルの集団発光やメトロノームの同期現象などといった自然界に普遍的にみられるリズム現象の同期メカニズムの理解につながると期待されるそうです。(遺伝性疾患プラス編集部)