エリス・ファンクレフェルト症候群、日本人で新しい遺伝子変異を発見

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. エリス・ファンクレフェルト症候群は、骨や心臓に異常をきたす遺伝性疾患
  2. 生まれると心肺不全を起こし、多くは克服するが、重症では亡くなるケースも
  3. 今回重症の日本人患者さんの遺伝子解析で、新しい変異がEVC2遺伝子に見つかった

重症の日本人患者さんでEVC2遺伝子に新しい変異を発見

神奈川県立こども医療センターを中心とした研究グループは、エリス・ファンクレフェルト症候群の重症度に関わる新しい遺伝子変異を発見したという研究結果を報告しました。

エリス・ファンクレフェルト症候群は、遺伝性(”常染色体劣性遺伝”という形式で遺伝します)の病気で、骨の成長異常(手足や肋骨が短く低身長)、心臓の異常、多指症などが特徴です。この病気の患者さんで変異が見つかった遺伝子として、これまでにEVC遺伝子、EVC2遺伝子、DYNC2LI1遺伝子、GLI1遺伝子、WRD35遺伝子が報告されています。このうち、EVC遺伝子またはEVC2遺伝子の変異は、ほとんどの患者さんで見つかっています。これら2つの遺伝子から作られるタンパク質は、細胞の一次繊毛という部分で働いており、エリス・ファンクレフェルト症候群は、繊毛病のひとつとされています。

この病気は一般的に、新生児のうちに心肺不全を起こしますが、ほとんどの患者さんはこの心肺不全を乗り越えて生きていきます。しかし、重症度が高く、生まれる前に亡くなってしまうケースもあります。今回研究グループは、重症の日本人患者さんの遺伝子を解析し、EVC2遺伝子に、新たな遺伝子変異を見つけました。この変異は、専門的に「c.871-3 C> G」および「c.1991dupA」と表記される変異です。

今後、もっと多くの患者さんで遺伝子解析を進めることで、エリス・ファンクレフェルト症候群の症状や重症度と遺伝子の変異との関連性がはっきりしてくる可能性があります。(遺伝性疾患プラス編集部)

 

関連リンク