SMAは早期に遺伝子診断をして治療開始することが重要
千葉県こども病院は5月1日、令和2年5月から、千葉県内で生まれた赤ちゃんを対象に、新生児マススクリーニング(赤ちゃんの先天性代謝異常等の病気をみつけるための検査)に脊髄性筋萎縮症(SMA)検査を追加する試験研究を開始したことを発表しました。研究参加機関は、ちば県民保健予防財団、千葉県こども病院、かずさDNA研究所の3機関で、日本小児先進治療協議会の研究助成を受けて実施されます。
SMAは、乳児期に運動の発達が止まり、哺乳や食べ物の飲み込み、呼吸などができなくなり、命を落とすこともある遺伝性疾患です。最近、画期的な治療法が開発され、発症する前に治療を開始すれば、正常な運動発達が可能となりました。しかし、発症後ではその効果が限られるため、出生後、可能な限り早期に遺伝子診断をして治療を開始することが極めて重要だといえます。
千葉県が日本の先陣を切って試験研究を開始
既に台湾と米国では、新生児に対してSMA検査が実施されており、その有効性が確認されています。そのため、日本でも新生児マススクリーニングにSMA検査も導入するべきであるとの意見は専門家の間で一致していました。そして今回、千葉県が、日本の先陣を切って試験研究を開始することになりました。
検査の実施期間は、令和2年5月~令和3年3月31日。今回、この研究への参加に同意された方の新生児を対象に、通常の新生児マススクリーニング検査で使用された赤ちゃんの血液の余りで、SMAの原因となる遺伝子を解析し、診断します。今回の研究について、研究参加機関は「SMA検査の追加導入が可能で成果が得られることが示されれば、他の都道府県に普及する大きな力となると思われます」と、コメントしています。(遺伝性疾患プラス編集部)