Ⅰ型脊髄性筋萎縮症の乳児に対する「リスジプラム」の治験で良好な成績

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. リスジプラムは、体内でSMNタンパク質を増量させる作用が期待される経口薬
  2. 生後1~7か月でI型脊髄性筋萎縮症を発症した乳児対象に臨床試験を実施
  3. 投与開始12か月後に5秒間支えなしで座位できるかを評価、有効であることを確認

投与群は9割以上が生存、首がすわるようになった乳児も

スイスのロシュ社は、乳児(生後1~7か月)のI型脊髄性筋萎縮症(以下、SMA)患者さんを対象に、開発中の薬剤「リスジプラム」を投与した臨床試験(FIREFISH試験)で、良好な評価が得られたことを発表しました。

SMAは、機能性のSMNタンパク質が体内で十分な量作られないために発症する、遺伝性の神経筋疾患です。

リスジプラムは、中枢神経系および全身のSMNタンパク質を増量させる作用が期待される薬で、経口投与が可能。運動神経および筋肉機能をよりよくサポートするために、SMN2遺伝子からの、正常なSMNタンパク質の産生が増加するよう設計されています。日本では2019年3月に希少疾病用医薬品指定を受けています。

試験では、41人の患者さんに対して投与が行われました。その結果、解析時点で38人が生存。投与開始12か月時点で最低5秒間支えなしで座位が保持可能な乳児はそのうち12人でした。また、18人は首がすわるようになり、13人は横に転がることができるようになりました。

臨床試験中に試験からの脱落につながる薬剤関連の安全性の所見(副作用など)は確認されなかったとしています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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