脊髄性筋萎縮症の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」、保険適用となり発売

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 2歳未満のSMA患者さん対象に、「ゾルゲンスマ」が保険適用となり発売された
  2. 遺伝子治療薬で、治療はたった1回60分の点滴で終了
  3. 体重2.6kg以上で、AAV9抗体陰性、副腎皮質ステロイド剤投与可能など条件あり

治療対象は、7つすべての条件を満たすSMA患者さん

脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する遺伝子治療用製品「ゾルゲンスマ(R)点滴静注」(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク、以下、ゾルゲンスマ)が、保険適用となり発売されました。同製剤は、ノバルティス ファーマ株式会社が製造販売するもので、令和2年3月19日に国内製造販売承認を取得、同5月20日に薬価基準に収載されました。算定薬価は、1患者さん当たり1億6,707万7,222円です。

対象は、2歳未満で、ゾルゲンスマによる治療歴がなく、ゾルゲンスマの成分に対し過敏症の既往がないこと、父親および母親から受け継いだSMN1遺伝子の両方が欠失または変化していることが確認されている、体重2.6kg以上といった条件があります。また、抗AAV9抗体検査で陰性であることが確認されており、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド剤が投与できることも条件とされています。

1回60分の点滴のみで治療終了

SMAの確定診断には遺伝学的検査が必要で、結果が出るまでには数日を要します。遺伝学的検査の結果、SMAと診断され、ゾルゲンスマを使った治療が選択された場合には、抗AAV9抗体検査が行われます。実際に投与する場合は、体重2.6kg以上の患者(2歳未満)さんには、1.1×10の14乗ベクターゲノム(vg)/kgの量を、点滴で60分かけて静脈内に投与。治療は1回の投与で完了します。

ゾルゲンスマの治療により、肝機能障害、心筋トロポニンⅠ(心筋障害を示す物質)の一過性の軽度上昇および血小板減少症などの副作用が現れることがあります。肝機能障害のリスク軽減のために、副腎皮質ステロイド剤(経口薬)を服用する必要がありますが、この服用により免疫力が低下するため、感染症予防の実施も必須です。

関連リンク