心臓外科手術を受けたダウン症候群の子どもでは、鎮静剤ミダゾラムの効果が弱くなると判明

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. ダウン症候群の子どもは4割が先天性心疾患を併発、心臓外科手術の機会が多い
  2. 心臓血管外科手術を受けたダウン症候群の子どもでは、ミダゾラムの効果が減弱
  3. ミダゾラムが効きにくいダウン症候群の子どもへの鎮静では、医療者がより慎重に観察を行っていく

複数の鎮静・鎮痛薬を比較して鎮静効果を比較

筑波大学は、心臓外科手術後に使われる一般的な鎮静剤「ミダゾラム」が、ダウン症候群の子どもに対しては効きづらくなっていることがわかったと発表しました。

ダウン症候群は、新生児に最も多く見られる染色体異常です。ダウン症候群の子どもの約40%は先天性心疾患を併発しており、心臓外科手術および集中治療を受ける機会が多いという特徴があります。しかし、気道閉塞のリスクが高いことなどが報告されており、手術前後の一連の期間は、医療者が注意して管理を行う必要があると考えられています。

今回、筑波大学附属病院で2015~2018年までに心臓血管外科手術を受けた131人のダウン症候群の子どものデータを対象に、鎮静状態を評価するとともに、手術重症度、臓器障害の程度を測定し、また、鎮静剤(ミダゾラム、デクスメデトミジン)および鎮痛剤(フェンタニル)の使用量を考慮した解析も行い、ミダゾラム使用に対する鎮静の効果を推定しました。

ダウン症候群の子どもでは鎮静剤の使用量が多く、ミダゾラムの鎮静効果が減弱

データのうち、筋弛緩薬終了後の小児集中治療室の入室期間が5日以上あった104人(平均26週齢、ダウン症候群の16人を含む)のデータを解析したところ、ダウン症候群の子どもは、それ以外の病気の子どもと比較して、週齢が低い上、臓器重症度が高く、鎮静剤の使用量および筋弛緩薬の使用日数が多い傾向が認められました。

また、鎮静薬としてデクスメデトミジンを使用した場合、ダウン症候群であってもなくても、鎮静効果に違いはなかった一方、ミダゾラムを使用すると、ダウン症候群では鎮静効果が減弱していることが明らかになりました。

本研究によって、ダウン症候群の子どもに対しミダゾラムの作用減弱が明らかになり、このような子どもに対する鎮静行為において、医療者はより慎重に観察を行う必要があることがわかりました。「疾患的マイノリティの小児患者に対する、鎮痛・鎮静・せん妄管理の方法論の確立が期待されます」と、研究グループは述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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