全身に皮膚症状が起こるスティーブンス・ジョンソン症候群
風邪薬に含まれていることも多い「アセトアミノフェン」の服用により発症した「スティーブンス・ジョンソン症候群」(Stevens–Johnson syndrome、以下SJS)の、重篤な目の合併症は、「HLA(human leukocyte antigen)」(ヒト白血球抗原)という遺伝子の個人差によって引き起こされていることがわかりました。
SJSは、高熱や全身倦怠感などの症状を伴って、唇や口腔、目、外陰部などを含む全身で皮膚の赤い発疹やはがれ、水疱が多発し、表皮の壊死性障害がおこる病気です。皮膚のはがれた面積が10%以下の場合をSJS、30%以上で予後不良な場合は、「中毒性表皮壊死症」(toxic epidermal necrolysis、以下TEN)と呼ばれています。薬が原因のことがほとんどですが、一部、感染症により起こることもあります。
研究グループは以前に、SJSとTENにおける目の重篤な症状の原因として、アセトアミノフェンが関連していることを突き止めていました。しかし、目の症状の年間発生率は100万人あたり1〜6人であり、発症においては、別の原因があるのではと推測されていました。
免疫反応に関連するHLA遺伝子の個人差によって重篤な目の症状が起こる
研究グループは、目の重篤な合併症を伴うアセトアミノフェン関連のSJSとTENの日本人患者さん80人について「PCR-SSOP」という方法による検査を実施して、遺伝子レベルで解析を行いました。その上で、対照群となる健康な人の遺伝子型データと比較検討しました。
その結果、免疫反応の個人差の原因となっている「HLA」と呼ばれる遺伝子の違いが、病態と関わっていることがわかりました。HLAは、クラス1(HLA-A、HLA-B、HLA-C)と、クラス2(HLA-DRB1、HLA-DQB1)に大きく分類されており、関連が示されたのはクラス1です。
「アセトアミノフェンは、子どもも含め広く市販薬としても使われ、安全と考えられています。一方で、医師は、アセトアミノフェンがSJSやTENの主な原因となることを考慮して処方しなければなりません」と、研究グループは述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)