「セルメチニブ」、神経線維腫症1型の治療薬として日本で希少疾病用医薬品に指定

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. セルメチニブが、NF1の治療薬として日本で希少疾病用医薬品指定された
  2. 多くの腫瘍で活性化されている細胞増殖シグナルを阻害する薬
  3. 臨床試験では、小児の患者さんで腫瘍縮小効果が示されており、米国では承認済み

叢状神経線維腫を有するNF1小児患者さんで客観的奏効率66%

アストラゼネカ株式会社は7月2日、セルメチニブ硫酸塩(以下、セルメチニブ)が希少遺伝性疾患「神経線維腫症1型」(neurofibromatosis type1;NF1)の治療薬として、日本における希少疾病用医薬品指定を取得したと発表しました。希少疾病用医薬品指定は、厚生労働省が、患者数5万人未満で重篤な疾病の治療を目的とした医薬品に対して行っているものです。まだ日本では承認されていない薬ですが、NF1に対する初の治療薬が日本の小児患者さんに提供されるための重要な一歩となります。

NF1は、3,000~4,000人に1人が罹患する遺伝性疾患。患者さんの約30~50%は、神経鞘(末梢神経の神経線維の最外層にある膜)で増殖する腫瘍「叢状神経線維腫(PN)」を有しています。この腫瘍は、外見の変化、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害、腸や膀胱の機能不全および変形などの症状を引き起こす可能性があります。PNは幼児期に始まり、重症度はさまざまです。

セルメチニブは、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1/2阻害剤)という種類の薬。さまざまながんで活性化され細胞増殖を促している、「RAS/MAPK」という情報伝達経路の重要な構成要素であるMEK酵素のはたらきを阻害することで、腫瘍の増殖を抑制するよう設計されています。

臨床試験「SPRINT試験」では、セルメチニブ単剤を経口投与(1日2回)したPNを有するNF1の小児患者さんにおいて、客観的奏効率(ORR)が66%(50例中33例、部分奏効を含む)でした。ORRは、完全奏効(腫瘍が完全に消失)または20%以上の腫瘍縮小を評価基準とする部分奏効が確認された患者さんの割合をいいます。

米国では2歳以上のNF1小児患者さん対象で承認済み、欧州では審査中

セルメチニブは、同社とMSDが共同開発している薬剤で、2020年4月、症候性かつ手術不能なPNを有する2歳以上のNF1小児患者さんに対する治療薬として米国で承認されました。また、PNを有するNF1を適応症とする承認申請が、欧州医薬品庁で受理・審査中です。

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