日本人のミトコンドリア病患者さんから新しい原因遺伝子を発見

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 発達遅滞・小頭症・てんかんを併発する日本人のミトコンドリア病患者さんの遺伝子を解析
  2. 細胞核に存在する「NDUFA8遺伝子」を新たな原因遺伝子として世界で初めて同定
  3. ミトコンドリアのはたらきに重要な「呼吸鎖複合体I」が正しく働かなくなる変異だった

ミトコンドリア病の原因遺伝子はミトコンドリアにも細胞核にも複数存在する

千葉県こども病院を中心とした研究グループは、発達遅滞・小頭症・てんかんを併発する日本人のミトコンドリア病の新たな原因遺伝子として「NDUFA8遺伝子」を同定したことを発表しました。

ミトコンドリアの機能低下が原因となって発症する病気を総称して「ミトコンドリア病」といいます。この病気には、赤ちゃんの頃から発症する重篤なタイプから、大人になってからはっきりと症状が現れる軽症なタイプまでさまざまなタイプがありますが、多くの場合で共通して筋肉や神経に症状が見られます。

ミトコンドリア病は、ミトコンドリアが独自に持つ「ミトコンドリアDNA」、または、「細胞核のDNA」の変異が原因で発症しますが、小児期から発症するタイプのミトコンドリア病の多くは、細胞核のDNAに存在する、ミトコンドリアの機能に関連する遺伝子の変異が原因であると知られています。

新たな原因遺伝子として、細胞核に存在する「NDUFA8遺伝子」を同定

研究グループは、これまでに、全国の大勢のミトコンドリア病疑いの患者さんに対し、生化学診断と遺伝子診断に取り組んできました。今回、発達遅滞・小頭症・てんかんを併発するミトコンドリア病患者さんについて、遺伝子解析を行い、新しい原因遺伝子として「NDUFA8遺伝子」を世界で初めて同定しました。この遺伝子は、細胞核のDNAに存在する遺伝子です。さらに詳しく解析を行った結果、この遺伝子から作られるNDUFA8タンパク質が、遺伝子変異により減少すると、ミトコンドリアがエネルギーを取り出すという役目を果たすのに必要な「呼吸鎖複合体I」が正しく働かなくなってしまうということがわかりました。

ミトコンドリア病のなかでも、「呼吸鎖複合体I」のはたらきが低下、消失している患者さんは多くいます。そのため、今回、また1つ、呼吸鎖複合体Iの活性が低下するメカニズムを新たに発見したことは、今後、ミトコンドリア病の病態解明と診断法・治療法の開発につながっていくと期待されます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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