肺や肝臓、腎臓などで見られる繊維症は、有効な治療法がまだない
大阪大学の研究グループは、肺線維症や肝硬変などの繊維症に関連する遺伝子として、新たに「RBM7」を発見し、この遺伝子による線維症発症メカニズムの一端を解明しました。
肺線維症は、診断後3~5年で約半数が亡くなる非常に重篤な病気です。腎線維症や肝臓の線維症である肝硬変も同様に、有効な治療法がまだ存在していないため、不治の病とされています。これまで病態解析について数多くの研究がなされ、各種の知見が蓄積されているものの、未だ線維症の発症メカニズムは不明な点が多く残されています。
原因遺伝子「RBM7」を特定、ヒト線維症患者さんにおいて発現上昇
研究グループは、マウスモデルを用いた実験によって、線維化の発症時には、免疫には関係のない細胞たち(非免疫系細胞)が死に始めること、その細胞死は「RBM7」という遺伝子に起因していることを明らかにしました。そして、線維化が始まってからであっても、薬剤でRBM7遺伝子の発現を抑制すると、その時点から病態の進行が抑えられることも明らかにしました。
RBM7はヒト線維症患者さんの体内で、多く作られる現象(発現上昇)がみられます。「今後、RBM7を標的とした治療法が開発されれば、これまで有効薬のなかった線維症に対し高い効果を示す薬が得られることが期待されます。すでに、製薬企業とRBM7を標的とした創薬活動は始まっています」と、研究グループは述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)