ウィリアムズ症候群の病態に、DNAの「メチル化」という化学変化が関連することを発見

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. ウィリアムズ症候群の症状はさまざまだが、その原因はわかっていない
  2. 患者さんのDNA解析から、神経発生や発達に関わる遺伝子でメチル化の亢進を発見
  3. メチル化が進んだ遺伝子の1つは、実際に患者さんの脳で発現が減少していた

患者さんのDNAの「メチル化」について詳しく解析

京都大学の研究グループは、ウィリアムズ症候群の患者さんのDNAを詳しく調べ、その病態に「DNAのメチル化異常」が関わっていることを発見しました。

ウィリアムズ症候群は、約1万人に1人と非常にまれな病気で、2本もつ7番染色体の片方の一部が失われることで、妖精のような顔つき、陽気で高い社交性、心血管の異常や知的発達の遅れなどさまざまな症状がみられます。しかし、そのような症状の程度は人によってばらつきが大きく、その原因はわかっていませんでした。

研究グループは、この病気の患者さんと、病気でない人からそれぞれ取り出したDNAを網羅的に解析。DNAを構成する「塩基」の配列に加えられた化学変化(エピゲノム)のうち、「メチル化」という変化に着目して詳しく調べました。

患者さんで神経発生や発達に関わる遺伝子のメチル化が高まっていた

その結果、病気とそうでないグループとで、DNAに起きているメチル化の程度が大きく異なる遺伝子が多数見つかりました。特に神経の発生や発達に関わるような遺伝子では、患者さんでメチル化の程度が高くなっており、その働きが抑えられていることが示唆されました。また、そのうちの1つの遺伝子「ANKRD30B」について詳しく調べたところ、患者さんの脳ではその遺伝子の発現が減少していることがわかりました。

今回の成果について研究グループは、「ウィリアムズ症候群にみられる多彩な症状の原因を説明する重要な手がかりとなる知見であり、今後さらなる病態の解明につながることが期待されます」と、述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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