重症型ミトコンドリア肝症と診断された日本人患者さん23例を詳細に解析
千葉県こども病院を中心とした研究グループは、日本人の重症型ミトコンドリア肝症23例について詳しく調べ、その臨床像や分子遺伝学的特徴を明らかにしました。
ミトコンドリア病は約5,000人に1人の頻度で発症する、最も頻度の高い先天代謝異常症です。神経・筋症状を呈するミトコンドリア病はよく知られていますが、黄疸など肝症状を主体とするミトコンドリア肝症についてこれまでほとんど知られていませんでした。ミトコンドリア肝症は、ミトコンドリア病全体の約1割を占めています。
研究グループは今回、過去13年に全国から寄せられた症例やレジストリ登録のデータから、重症型ミトコンドリア肝症(脳肝型ミトコンドリアDNA枯渇症候群:MTDPS)と診断された日本人患者さん23例について解析を実施。臨床像、遺伝学的特徴、予後について詳細に調べました。
原因遺伝子、初発症状、肝移植の予後などが明らかに
その結果、原因遺伝子は18例(78%)において同定されました。その内訳は、MPV17が13例、DGUOKが3例、POLGが1例、MICOS13が1例でした。さらに詳しく調べ、生命予後が比較的良い遺伝子のタイプも見つかりました。
初発症状は、約半数の症例が乳児期早期から成長障害を呈しており、乳児期の黄疸・胆汁うっ滞は21例(91%)で認められました。
肝移植は12例に対して行われており、5例が生存していました。
研究グループは、「今回の研究において重症型ミトコンドリア肝症の臨床像、分子遺伝学的特徴、また肝臓移植手術の長期予後を明らかにしたことで、本症の早期診断、治療法の選択や肝移植の適応の検討に大いに役立つことが期待されます」と、述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)