ジストニン遺伝子の変異で起こる神経疾患と皮膚疾患が合併する可能性を検討
新潟大学を中心とした研究グループは、ジストニン遺伝子の異常によって発症する神経疾患と皮膚疾患が、単独または合併して発症するメカニズムの一端を解明しました。
ジストニン遺伝子は、神経・皮膚・筋肉で、細胞の骨格に重要なタンパク質を作っている遺伝子で、特定の細胞の生存や生理機能維持に必須の役割を果たしています。これらの組織では「神経型ジストニン」「皮膚型ジストニン」「筋肉型ジストニン」という、機能は同じですが少し構造が異なるジストニンが作られています(これをジストニンのアイソフォームといいます)。
ジストニン遺伝子の変異によって、神経疾患の「遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー6型」と皮膚疾患の「単純型表皮水疱症」を発症することが報告されています。この2つの疾患は、それぞれ別の症例として報告されていましたが、両方の症状を合併する可能性については十分に検討されていませんでした。
遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチーとは、主に末梢神経系が障害される難治性疾患。いくつか分類があり、ジストニンを原因遺伝子とするのは6型(HSAN-VI)にあたります。また、表皮水疱症では、通常はくっついている表皮と真皮(表皮と皮下組織の間にある)が離れて、水ぶくれや皮膚潰瘍が生じます。
ジストニン遺伝子の変異した場所によって、単独か合併か症状が分かれる
研究グループは、マウスを用いてジストニン遺伝子の作用メカニズムについて詳細に研究を行いました。その結果、ジストニン遺伝子のどこに変異があるかによって、神経型と⽪膚型のジストニンへの影響のしかたが変わり、神経症状と皮膚症状を単独で示すのか、それとも合併して示すのかが決まることがわかりました。
研究グループは、「研究成果は、ヒト遺伝性疾患の新たな遺伝子変異の同定、その診断および治療法の開発に貢献することが期待される」と、述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)