ALS患者さんが自身で扱えるように改良
「LIC TRAINER(R)」(エルアイシートレーナー、以下LT)という呼吸理学療法機器が、筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)患者さんの呼吸療法に有用な可能性が、臨床試験により示されました。
ALSでは、肺や胸郭(胸の骨格)の柔軟性が低下することで呼吸障害が起こるため、呼吸理学療法が行われます。その1つは人工呼吸療法ですが、球まひ症状(顔・舌・のどのまひや筋萎縮)が加わると痰がたまりやすくなり、人工呼吸療法が継続できなくなります。また、気管切開をしてしまうと肺・胸郭の柔軟性を評価するのが難しくなります。
LTは、呼吸障害を有するALS患者さんに対して、強制的な深呼吸(Lung Insufflation Capacity、LIC)を測定する機器として、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)が従来の機器を独自に改良したもの。具体的には、研究機関用だったLIC測定機器に、高い密閉性、一定圧で開放される安全弁を装備し、ALS患者さんが自分で自発呼気弁をリークすることが可能になりました。
気管切開している患者さんを含めLTの有用性を確認
NCNPの研究グループは、呼吸理学療法を受けたALS患者さん20人に対し、LTを用いて、LIC測定の有用性を検証。結果、LTを使ってLICを正常に測定できることが確認されました。また、球麻痺や気管切開している患者さんであってもLTを利用することで肺や胸郭の柔軟性を評価することが可能になりました。
研究グループは、「臨床利用を拡大するための啓発活動や患者さんにより優しく、有効性を確認できるLIC TRAINERの開発を行っていきたい」と、述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)