国を挙げてのゲノム検査プログラム、中東・カタールでの国民の参加意欲は?

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. カタールで国民のゲノム検査プログラム(QGP)が始動している
  2. ゲノム検査に関する認知度や、QGPへの参加意欲について意識調査が行われた
  3. 「参加したい」と約7割が答えるも、実際の参加はまだハードルが高いことが明らかに

個別化医療推進のため、カタールでゲノム検査プログラム始動

中東・カタールにおいて、ゲノム検査に対する意識調査が行われました。回答者の約7割が、国のゲノム検査プログラムに賛同すると答えました。

カタールは人口約30万人の国。2015年から「カタール・ゲノム・プログラム」(Qatar Genome Program、以下QGP)と呼ばれる、国家プロジェクトが始動しています。これは、カタール人集団での遺伝情報を集約するための取り組みで、最終的には、遺伝情報に基づく個別化医療の推進に生かされる計画です。このプログラムにおいて、国民の理解や参加意欲は大切なポイントであることから、意識調査が行われました。

約7割は「参加したい」、理由の最多は「自分の健康を知りたい」

意識調査は2016年5月に行われ、家族の病歴や、遺伝子検査の経験の有無、遺伝子検査やゲノム検査に関する情報源、QGPへ参加する意思などが問われました。その結果、837人から回答があり、その約71%が、QGPに参加したいと答えたことがわかりました。QGPへの参加意欲は、「遺伝に関する知識がある人」「遺伝性疾患の家族がいる人」「婚前遺伝子検査の経験がある人」で高くなる傾向がわかりました。

また、参加意欲の主な動機として、「自分の健康状態についてもっと知りたい」(約43%)、「将来の健康を案じて」(約26%)が多い一方、実際の参加については「参加するための十分な時間がない」(約40%)、「情報不足」(15.2%)と、ハードルの高さもうかがえました。

今回の調査を行ったカタールの研究グループは、「QGPは、国民に前向きに支持されているとわかりました。今後、ゲノム検査の目的やプロセスだけでなく、遺伝情報は個人情報である点を踏まえた情報セキュリティに関する知識や教育の機会についても検討していきたいです」と述べています。

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