遺伝性脳小血管病CADASILの脳梗塞再発予防に、既存の片頭痛薬が有効と判明

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 遺伝性脳小血管病CADASILは、中年期で脳梗塞を繰り返す遺伝性の脳の病気
  2. 片頭痛薬「塩酸ロメリジン」にCADASILの脳梗塞再発を予防する効果を発見
  3. 実際に患者さんが服用したところ、脳梗塞の平均発症回数が3分の1に減少した

脳梗塞を繰り返す遺伝性の脳の病気CADASIL、根治療法はない

京都府立医科大学の研究グループは、遺伝性脳小血管病CADASIL(皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症)における、脳梗塞の再発予防に効果のある薬を発見しました。

遺伝性脳小血管病CADASILは、40~60歳の中年期に脳梗塞を繰り返し、運動まひが進行するとともに認知症に至る病気です。有病率は10万人あたり1.2~3.6人と少なく、根本的な治療法はまだ確立されていません。通常、脳梗塞の予防には抗血小板薬が用いられますが、この病気における脳梗塞の再発予防は難しく、有効な薬が望まれてきました。

片頭痛の薬「塩酸ロメリジン」の服用で、脳梗塞再発を低減

今回、効果があるとわかった薬は「塩酸ロメリジン」。1990年に認可され、広く片頭痛の患者さんに投与されており、安全性・忍容性が高い薬です。効果として、脳の血流増加作用があり、動物実験で脳の保護作用があると確認されています。

CADASILの患者さん30人が、抗血小板剤に加えて塩酸ロメリジン5mg(1日2錠)を2年間服用したところ、脳梗塞の年間平均数が、投与前には0.53回だったのが、投与後には0.18回と、3分の1に減少しました。低血圧やほてり、眠気といった副作用のため3人の患者さんでは服用の継続が困難になりましたが、これらはすでに報告されている塩酸ロメリジンの副作用で、服用をやめたら速やかに改善しました。

研究グループは、「CADASILは、脳梗塞の再発を繰り返すことで症状が増悪するため、抗血小板剤に加えて塩酸ロメリジンを服用することで脳梗塞を予防できれば、患者さんの予後を改善できることが期待されます」と、述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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