先天性乏毛症・縮毛症に、AGA治療薬「ミノキシジル」が有効と判明

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 先天性乏毛症・縮毛症は、LIPH遺伝子の異常により起こる発毛の疾患
  2. ミノキシジルの効果を調べた臨床試験で、8人の患者さん全員で毛量改善を確認
  3. そのうち4人では高い効果が認められた

生まれつき髪の毛量が少なく、縮れ毛となる病気

長い間治療法がなかった、LIPH遺伝子変異を持つ先天性乏毛症・縮毛症に対し、「ミノキシジル」が有効であることがわかりました。

先天性乏毛症・縮毛症とは、生まれつき髪の毛の量が少なく、縮れ毛となる病気です。この病気は、常染色体劣性遺伝形式で遺伝します。毛髪の成長や毛包の分化において重要な役割を担う「リパーゼH」(LIPH)と呼ばれる酵素の設計図となる、LIPH遺伝子の変異が主な原因とされています。日本人は約100人に2人が、発症していなくてもLIPH遺伝子変異を有しており(このような状態を保因者といいます)、決してまれではない遺伝子変異です。

これまでは、この病気に対する有効な治療法はなく、患者さんは、乏毛・縮毛を個性として受け入れるか、あるいは、かつらを使用するなどで対処するしかありませんでした。

今回、効果がみられた「ミノキシジル」は、血管拡張薬として高血圧治療のために開発された薬で、後に発毛効果がわかり、男性型脱毛症の治療薬として使われるようになったものです。

臨床試験で、ミノキシジルの外用ローションにより毛量が改善

LIPH遺伝子変異を持つ先天性乏毛症・縮毛症の患者さん(小児5人を含む8人)を対象とした臨床試験が行われ、1%ミノキシジルローション外用の有効性と安全性が評価されました。その結果、8人全員で毛量の改善が認められ、そのうち4人では高い効果がみられました。

小児の患者さんでは、頭皮の乾燥、多毛、逆まつげなど、軽度の副作用は認められたものの、重篤な副作用は認められませんでした。

「先天性乏毛症・縮毛症は、標準的治療法が確立しておらず、有望な治療選択が増えたことは、当疾患における今後の治療に大きく寄与することが期待されます」と、研究グループは述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

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