神経線維腫症I型、日本初の多科多職種による院内診療ネットワーク開始6年の状況公表

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 神経線維腫症I型(NF1)は、多臓器にわたる多彩な症状のために多科連携が必要
  2. 日本初のNF1院内診療ネットワークが出来たことで受診者が増加
  3. 全国、アジアにこの体制の構築が進めばNF1患者さんにとって大きなメリットに

最適なNF1の診療を提供するために、院内診療ネットワークを構築

名古屋大学は、同大医学部附属病院に神経線維腫症I型の院内診療ネットワークを構築し、2014年から開始しています。今回、このネットワークの立ち上げと進捗状況について、同大から発表がありました。

神経線維腫症I型(神経線維腫症1型、NF1)は、レックリングハウゼン病としても知られ、性別や民族に関係なく、2,500〜3,000人に1人が罹患する常染色体優性(顕性)の遺伝性疾患です。主な症状はカフェ・オ・レ斑と皮膚神経線維腫で、そのほかに骨、目、神経系など多臓器に多彩な症候を呈します。この多彩な症候のため、予測不可能な経過をたどることがあります。神経に沿って発生する叢状神経線維腫は、多くのNF1患者さん(最大60%)に発症しますが、痛みや外見の問題を引き起こす可能性があるほか、悪性転化を起こす可能性があります。

このように、さまざまな症状があり悪性腫瘍の可能性もあるNF1は、最適な診療を提供するために、単一の診療科で担当するのが必ずしも適切とはいえません。そこで、名古屋大学医学部附属病院では、専門家によるNF1院内診療ネットワークを構築し、2014年1月に日本で初めてこの病気に対する学際的なアプローチを開始しました。

受診患者さんは徐々に増加、初診年齢が低いほど多い

2014年1月から2020年12月までに246人のNF1患者さんが、この診療ネットワークを受診されました。うち男性は107人(41%)、女性は139人でした。平均年齢は26歳(3か月~80歳)。初診年齢が低いほど、受診患者さんの数が多くなったことから、ご両親の関心が強いことが示唆されました。

整形外科に関連する症候については、脊柱側弯症が60人(26%)、上腕・前腕・脛骨の骨異常が8人(3.5%)で見られました。皮膚神経線維腫以外の神経線維腫は90人(39%)に、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)は17人(7.4%)に発症していました。

この診療ネットワークが始まってから受診患者さんの数は徐々に増加しており、NF1診療の多科・多職種による取り組みが重要であることが示されました。

全国展開により患者さんの直接的メリットに加え実態把握への寄与も

米国では、2007年に小児腫瘍財団によって神経線維腫症クリニックネットワークが設立され、全国的な神経線維腫症に対する診療レベルの標準化と向上が図られています。

今回、日本で初めて構築された、多科多職種によるNF1診療ネットワークは、総合的にNF1患者さんを診療することで、多様な症候に対して的確に対処することを可能とするものです。悪性腫瘍発生の可能性がある遺伝性および全身性疾患であるNF1の患者さんにとって、日本全国およびその他のアジア諸国でこのようなNF1診療クリニックの構築が進んでいくことは大きなメリットになると考えられます。また指定難病である神経線維腫症1型の患者レジストリーや実態把握にも寄与すると考えられます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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