販売名「エブリスディ」、希少疾病用医薬品を経て承認
脊髄性筋萎縮症(SMA)の経口治療薬として開発された「エブリスディ(R)ドライシロップ60mg」(一般名:リスジプラム)が、厚生労働省から国内製造販売の承認を取得しました。2019年3月に希少疾病用医薬品の指定を受け、2020年10月に承認申請が行われて、今回、承認に至りました。スイスのロシュ社が開発した薬で、国内での製造販売は中外製薬株式会社が行います。
SMAは、乳児期から小児期に10万人あたり1~2人の頻度で発症する、遺伝性疾患。主な症状は、脊髄の運動神経細胞の異常による、手足の筋力低下と筋委縮です。SMAの原因遺伝子はSMNタンパク質の設計図となるSMN1遺伝子とSMN2遺伝子です。SMAは、SMN1遺伝子が働けなくなっていることに加え、SMN2遺伝子のみでは十分量のSMNタンパク質が作られないために発症します。
乳児から若年成人のSMA患者さん対象の臨床試験で運動機能の改善を確認
リスジプラムは、中枢神経系および全身のSMNタンパク質を増量させる作用が期待され、SMAでは初の経口薬です。運動神経や筋肉の機能をよりよくサポートするために、SMN2遺伝子から作られる正常なSMNタンパク質が増量するよう設計されています。既に米国と欧州では承認されています。
今回の承認は、乳児のI型SMA患者さんが対象のFIREFISH試験と、小児および若年成人のII型とIII型SMA患者さんが対象のSUNFISH試験の成績に基づいています。FIREFISH試験では、投与開始12か月後に5秒間支えなしで座位できるかが評価され、有効であることが確認されています。またSUNFISH試験では、プラセボ(偽薬)と比較して、運動機能の改善または維持が示されていました。(遺伝性疾患プラス編集部)