家族性地中海熱を含む自己炎症性疾患、病気につながる遺伝子変異を迅速に判別可能に

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 家族性地中海熱に関連するMEFV遺伝子変異の病原性を迅速に判別する新しい方法を開発
  2. MEFV遺伝子変異は多くのパターンがあり、どれが病気と本当に関係するのかわからなかった
  3. 変異のあるMEFV遺伝子を培養細胞に組み込み、活性化させた反応から病原性を判定可能に

家族性地中海熱など、パイリン関連自己炎症性疾患の原因遺伝子に注目

京都大学の研究グループが、パイリンと呼ばれるタンパク質の異常により発症する、家族性地中海熱を含むパイリン関連自己炎症疾患において、発症につながる遺伝子変異の病原性を迅速に判別する新たな検査方法を開発したことを発表しました。

パイリンは、体に侵入した特定の病原体や毒素を感知するセンサーのような働きをするタンパク質で、炎症反応に関連するインフラマソームという巨大なタンパク質複合体を形成することが知られています。病原体を感知すると、パイリンインフラマソームが活性化し、細胞死を引き起こしたり炎症を起こしたりして、病原体を排除する役割を持ちます。

パイリンはMEFV(familial Mediterranean fever gene)遺伝子から作られているのですが、MEFV遺伝子に異常があると、パイリンの働きが過剰に活性化してしまい、家族性地中海熱を含めたパイリン関連自己炎症疾患という病気を引き起こします。なお、家族性地中海熱は国内では指定難病の一つで、発作性の発熱や腹痛、胸痛、関節炎、皮疹などが認められます。

培養細胞を活性化し、反応から病原性の有無を判定

これまで家族性地中海熱を含むパイリン関連自己炎症性疾患は、原因の遺伝子変異との関連について不明点がありました。というのは、パイリンの遺伝子であるMEFV遺伝子の変異はDNAの配列が異なる380個を超えるバリアントが存在するのですが、病原性を持つものと病原性を持たないものを区別する方法が確立されていなかったのです。そのため家族性地中海熱を含むパイリン関連自己炎症疾患の患者さんの診療において遺伝子変異が見つかっても病気との関連を判断することが困難でした。

今回、研究グループはまず、患者さんの血液をもとに遺伝子検査を行って遺伝子変異を特定。その上で、変異の見つかった遺伝子を、人の免疫を担う「単球系細胞株」に導入し、その後の反応から病原性を判断可能であることを発見しました。具体的には、遺伝子を導入した細胞を培養し、パイリンを活性化すると分かっている細菌の毒素であるUCN-01とTcdAという物質を加えます。導入した遺伝子の変異に病原性がある場合のみ過剰な反応を起こすために細胞死が起こります。逆に病原性がなければ細胞死は起こりません。この方法によって病原性の有無が判別可能となりました。

さらに32種類のバリアントを評価したところ、パイリンを活性化するUCN-01とTcdAのどちらにも反応するものや片方だけに反応するものなど分かれ、6つのクラスターに分類されることがわかりました。この分類は、これまでに知られているパイリン関連自己炎症疾患の病態の差と関係していると考えられました。(遺伝性疾患プラス編集部 協力:ステラ・メディックス)

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