未診断のギッテルマン症候群が日本人に多数存在する可能性

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 腎臓の機能に異常が現れる遺伝性疾患のギッテルマン症候群が日本人に多い可能性が判明
  2. 日本人では1,000人中2人の割合で患者さんが存在する計算結果になり、他民族より多かった
  3. 疲れやすいなど原因不明の症状を抱える人に病気が紛れている可能性があると指摘

遺伝情報を蓄積したゲノムデータベースを分析

神戸大学の研究グループは多数の人々の遺伝情報を蓄積しているゲノムデータベースの情報を分析することで、腎臓の機能に異常が現れる遺伝性疾患であるギッテルマン症候群の患者さんがどれくらい存在しているのかを推定する研究を進めました。ここから、他の民族で報告されてきたよりも日本人ではギッテルマン症候群である人が多い可能性があるとわかりました。

ギッテルマン症候群は、「SLC12A3」という遺伝子の異常によって起こる遺伝性疾患です。ヒトはそれぞれの遺伝子を両親から1つずつ受け継いで2つずつ(1対)持っていますが、ギッテルマン症候群は1対の遺伝子双方が異常な遺伝子である場合に病気が現れるとわかっています。片方の遺伝子だけに異常がある場合には、病気の症状は現れないものの病気の原因となる遺伝子を潜在的に持つことになり、「保因者」と呼ばれます。

ギッテルマン症候群になると、腎臓で尿を作る機能に異常が現れて、疲れやすさや筋力低下のほか、夜尿や塩辛い食品を好むといった症状が見られるようになります。ただし、症状が重いものではないためにギッテルマン症候群を疑って血液検査を行わなければ診断に至りません。

研究グループは、精神疾患と言われていたり、疲れやすさが出やすかったりする人の中にこの病気が隠れている場合があると推定。従来報告されているよりも、身近な病気の可能性があるのではないかと推定しました。他の民族では約4万人に1人の割合で患者さんがいると言われていましたが、日本人にどれくらい患者さんがいるのかは不明でした。

そこでインターネット上に公開されている民族別のゲノムデータベースを分析し、民族ごとにギッテルマン症候群である人の割合を計算することにしました。

従来の報告よりも多い1,000人に約2人という可能性

こうしてわかったのは、日本人においてギッテルマン症候群の保因者の割合は約9%に上る可能性があるということ。さらに、遺伝子の双方に異常を持ち病気に至っている人の割合は1,000人中およそ2人になることもわかりました。他の民族では保因者が0.7~5.8%、患者さんが1,000人当たり0.012~0.8人とされ、日本人においては大幅に高い割合である可能性が考えられました。日本人には特徴的な変異型が多く存在する可能性もありました。

その上で、研究グループは過去の電子カルテの情報からギッテルマン症候群の特徴の一つである低カリウム血症が見られ、しかも原因が分からない人の割合を調査しています。すると1,000人中0.9人がこうした条件を満たしており、ギッテルマン症候群の可能性があると予想されました。研究グループはこうした血液検査でのカリウムの値も踏まえながら、ギッテルマン症候群の可能性を考えて検査する必要性もありそうだと考えています。(遺伝性疾患プラス編集部 協力:ステラ・メディックス)

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