ヒトiPS細胞を用いた精子や卵子の作製と利用をめぐり市民に意識調査

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. ヒトiPS細胞を用いた精子や卵子の作製、利用について一般市民を対象に意識調査
  2. iPS細胞由来配偶子からの受精卵作製については「容認する」「容認しない」がほぼ半々に
  3. 従来の結婚制度や既存医療での治療の考え方に沿った利用は受け入れられやすい傾向

生殖への応用を決めるためには一般市民も含めた検討が欠かせない

京都大学の研究グループは、iPS細胞を用いた配偶子(精子と卵子)作成やその利用に関して一般市民を対象とした意識調査を実施しました。この結果、iPS細胞から作った配偶子の作製、この配偶子からの受精卵の作製、さらには子どもの誕生という段階ごとにどれくらいの日本人が容認しているかが明らかになりました。

現在、日本においてはiPS細胞を使った配偶子の作製は認められていません。一方で、今後生殖への応用が現実味を帯びたときに臨床応用を認めてよいかは、専門家ばかりではなく、一般市民も含めて検討することが欠かせなくなります。そこで2017年5月に、研究グループは将来の議論を見据えて一般市民を対象としてオンライン調査による意識調査を行いました。

研究グループは3つの段階に分けてiPS細胞を用いた配偶子の作製や利用について聞いています。一つ目の段階としては、iPS細胞を用いて配偶子を作製してよいか。次の段階は、iPS細胞を用いて作製した配偶子により受精卵を作製してよいか。さらに次の段階は、その受精卵により子どもを産ませてよいかです。

また、iPS細胞を用いた配偶子を生殖利用するときに、誰に対してどのような目的ならば認められるかなども質問しました。

従来の結婚制度や既存の医療の考え方に沿った目的は受け入れられやすい

研究グループは3,096人から回答を得ることができました。iPS細胞を用いた配偶子の作製や利用をどこまで受け入れられるかについては、第1段階の配偶子の作製は78.6%、第2段階の受精卵の作製は51.7%、第3段階の25.6%となりました。21.4%はどの段階であっても受け入れられないと回答しました。研究グループは、技術の利用を受け入れられないと考える人も少なくないため、直ちに規制緩和するのではなく慎重な検討が求められると述べています。

さらに、誰に対してどこまで認めるかについては、現在の不妊治療で効果が期待できない夫婦による配偶子の利用、疾患遺伝子の遺伝回避、純粋に子どもをもうける目的での配偶子の利用は受け入れられる傾向が確認されました。一方で、同性カップルや独身者による利用や、特定の容姿や能力を備えた子どもを作る目的での利用は受け入れられにくい傾向がありました。こうした結果について研究グループは、従来の結婚制度を前提とし家族や生殖の考え方に沿った目的、または既存の医療において治療として考えられてきた目的の場合には利用が受け入れられやすいと指摘しています。

研究グループは、今回の調査結果は議論を進めるための基礎資料になると説明しています。(遺伝性疾患プラス編集部、協力:ステラ・メディックス)

参考リンク