ファンコニ貧血の発症に関わる酵素を新たに発見

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. ファンコニ貧血はDNAの傷を修復するSLX4の遺伝子変異により発症する
  2. SLX4は「ユビキチン」というタンパク質を目印にDNAの傷に結合するが詳細は不明
  3. 今回、SLX4とDNAの傷との結合にRNF168という酵素が関与することを確認した

ファンコニ貧血はDNAの傷を修復できなくなることで発症する

京都大学の研究グループは、小児難病の遺伝性再生不良性貧血で最も頻度の高い「ファンコニ貧血」の原因遺伝子が、正常に機能するために不可欠なタンパク質を新たに同定したことを発表しました。

原因遺伝子とは「SLX4遺伝子」で、血液が造られるときにDNAの傷を修復する役割の一端を担っていると考えられています。SLX4遺伝子に変異が起きて、DNAの傷を修復できなくなるとファンコニ貧血を発症します。SLX4が修復するタイプの傷は、「クロスリンク」と呼ばれており、2本鎖のDNAがホルムアルデヒドという化学物質を介して固く結合して離れられなくなる問題を引き起こします。

従来の研究から、SLX4はDNAの傷に結合する際に、「ユビキチン」と呼ばれるタンパク質を目印にして傷の存在している場所を認識していることがわかっています。SLX4はDNAの傷を修復するために重要ですが、どのようにユビキチンに結合するのかはよくわかっていませんでした。これまで、ユビキチンが複数連結したものに結合するという説や、ユビキチンの1つにFANCD2というファンコニ貧血の原因遺伝子が結合したものに結合するという説が考えられていました。

研究グループはDNAの傷にSLX4が結合するときに特定の酵素が関与している可能性を考えました。そこで600種類の遺伝子を1つずつオフにする実験を行い、どの遺伝子をオフにしたときにSLX4と傷の付いたDNAとの結合ができなくなるのかを検証しました。

DNAの傷への結合にRNF168という酵素が関わることを発見

こうしてわかったのが、RNF168という酵素と、これに関連するいくつかのタンパク質がSLX4の機能に必要であるということです。RNF168が仲介する形で、SLX4とDNAの傷が引き合わされて、傷の修復が行われると考えられました。

一方で、これまでにRNF168はほかの遺伝性疾患の原因遺伝子として知られていますが、ファンコニ貧血とは症状に類似点がなく、どのように病気に関係するのかは不明です。研究グループでは、今後、RNF168がどのようにDNA修復に関与するのかを含めて、SLX4とDNAの傷との結合のメカニズムについてさらに解析する計画です。(遺伝性疾患プラス編集部、協力:ステラ・メディックス)

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