195人の口唇口蓋裂の子どもを3歳まで追跡調査
東北大学を中心とした研究グループは、口唇口蓋裂の子どもの運動や精神の発達について3歳までの追跡調査を実施し、幼少期には成長発達が遅れる傾向があるものの、成長に伴い問題が解消する傾向が示されたと発表しました。
口唇口蓋裂は最も頻度の高い先天異常です。これまで成長発育にどのような影響があるのかを長い期間にわたって追跡した調査はありませんでした。
そこで研究グループは、環境省が実施している子どもの健康と環境に関する全国調査「エコチル調査」の参加者約9万2,000人に含まれていた口唇口蓋裂の子ども195人を対象として、生後6カ月から3歳までの精神運動の発達を調べました。
言語訓練などにより改善する可能性
こうしてわかったのは、いくつかの成長発達の項目において、口唇口蓋裂の子どもは遅れが見られることでした。具体的には、コミュニケーションの発達については1歳半以降、座る、立つ、歩くといった粗大運動の発達が1歳半から2歳、問題解決に関する発達が2歳半から3歳、他人とのやりとりができるかどうかという個人や社会に関する発達が6か月と3歳で、それぞれ低い点数になりました。
一方で、こうした成長発達の差は成長に伴い減少する傾向も確認されました。口唇口蓋裂の手術歴や言語訓練の影響が考えられるそうですが、治療歴については今回の調査データに含まれていなかったため、結論付けることはできなかったとのことです。(遺伝性疾患プラス編集部、協力:ステラ・メディックス)