基礎疾患を持つ12~25歳、新型コロナワクチン接種後の副反応や有効性を実態調査

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 遺伝性疾患などの基礎疾患を持つ12~25歳を対象に、新型コロナワクチン接種の安全性や有効性について実態を調査した
  2. 発熱の頻度は12~15歳の方が16~25歳よりも高く、抗体価についても同様の傾向
  3. 免疫抑制状態の患者さんと比較して、免疫機能が正常な患者さんの方が発熱頻度も抗体価も高かった

遺伝性疾患などの基礎疾患を持つ子どもや若年成人の新型コロナワクチン接種

国立成育医療研究センターの研究グループは、基礎疾患を持つ12~25歳における新型コロナワクチン接種後の副反応疑い症状や抗体価の実態について発表しました。

新型コロナウイルスに対するワクチン接種は、感染や発症、重症化を防ぐ効果が示されています。子どもへの接種も安全性や有効性が確認され、日本においても5歳以上を対象とした接種が行われています。一方、基礎疾患を持つ子どもや成人に対する新型コロナワクチン接種に関連した情報が少なく、その実態を明らかにするための研究が求められています。

研究グループは2021年7月~10月の間にコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(製品名:コミナティ筋注)の接種を受けた何らかの基礎疾患を持つ12~25歳の患者さんを対象として、15歳以下(12~15歳)と16歳以上(16~25歳)の2つのグループに分けて副反応の疑いのある症状、入院を要する副反応、抗体価を調べました。調査に参加したのは、12~15歳が241人、16~25歳が188人でした。男性は12~15歳が49%、16~25歳は45.7%であり男女比はどちらもほぼ半々でした。

研究に参加した患者さんの基礎疾患は、「遺伝/染色体疾患、先天奇形」が12~15歳の17.8%、16~25歳の12.8%と全体で見ると最も多く確認されました。このほか「内分泌/代謝疾患」が12~15歳の14.9%、16~25歳の10.1%、「神経疾患」が12~15歳の12.0%、16~25歳の9.6%。「肝疾患」が12~15歳の10.0%、16~25歳の10.1%。「消化器疾患」が12~15歳の6.6%、16~25歳の12.8%などとなっていました。また、全体のうち、免疫抑制薬を内服しているなど免疫抑制状態にある患者さんは32.2%存在していました。

12~15歳の低年齢の方が発熱頻度も抗体価も高い傾向

ワクチン2回接種後の副反応疑いの症状として、1週間以内の38度以上の発熱は、12~15歳で35.7%、16~25歳で28.0%に確認され、低年齢の方がより発熱の頻度が高いという結果になりました。また、免疫抑制状態にある患者さんの場合、発熱の頻度は24.1%であり、免疫機能が正常な患者さんの36.2%よりも低いことがわかりました。

また、副反応疑いのために入院を要した患者さんは、1回目接種では0人、2回目接種では12~15歳で1人、16~25歳で2人。いずれも回復して退院しています。

ワクチン2回目接種後の抗体価は、12~15歳の方が16~25歳よりも高く、また免疫機能が正常な患者さんの方が、免疫抑制状態にある患者さんよりも高くなりました。

研究グループは、基礎疾患を持つ患者さんにとって貴重な情報になると指摘しています。(遺伝性疾患プラス編集部、協力:ステラ・メディックス)

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