家族のケアを担う子どもや若者「ヤングケアラー」、日本の存在率は7.4%

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 英国の実態調査で用いられたヤングケアラー尺度の日本版を作成
  2. 日本版尺度に基づく調査から、日本のヤングケアラーの存在率は7.4%と判明した
  3. ヤングケアラーは不安や抑うつが強く、支援の必要性が高いことがわかった

国際比較が可能な日本のヤングケアラー尺度はなかった

東京大学を中心とした研究グループは、家族のケアを担う子どもや若者の実態の調査に着手したことを報告しました。

ケアを必要とする家族の世話や家事という、通常大人が負うと想定される責任を担う18歳未満の子どもや若者は「ヤングケアラー」と呼ばれています。ヤングケアラーは英国で生まれた概念で日本でも注目されています。

英国では、ヤングケアラーの支援に関する法律が制定され、先進国での調査によるとヤングケアラーの存在率は約5~8%とされています。日本でも厚生労働省や文部科学省が支援体制の構築に向けて審議を始めています。今後、国がヤングケアラーを支援するためには実態を把握する必要があります。従来、日本でも国や自治体がヤングケアラーを調査し、そこから4~6%と推定されていましたが、国際比較が可能なヤングケアラーの尺度がありませんでした。

今回、研究グループは、英国放送協会(BBC)と英国ノッティンガム大学が行ったヤングケアラーの調査で使われた尺度の日本版の作成を進めました。英国版を翻訳した上で、信頼性と妥当性を検証して標準化したものです。

ヤングケアラーの尺度の項目は次の通りです。

<尺度の項目>

  1. 同居家族に病気や障害を抱えている人がいるか
  2. いる場合、その人の手助けをしているか
  3. その人は家族の中の誰か
  4. その手助けが必要である理由
  5. 同居家族に病気や障害を抱えている人がいるかいないかに関わらず、過去1か月間の手助けの内容・頻度

研究グループは、日本版の尺度に基づいて、首都圏の中高生5,000人を対象に国内のヤングケアラー存在率を調べました。

ヤングケアラーは不安と抑うつの傾向が強い

こうして判明したのは、日本のヤングケアラーの存在率は7.4%であることです。この数値は従来の標準化されていない尺度で調べた日本の調査結果とほぼ同じ割合となりました。英国で行われた調査では、ヤングケアラーの割合は22%で、日本では低い数字であるとわかりました。一方で、他の欧州諸国の調査と比べると同等の数字でした。

こうした英国との差が見られた背景について、研究グループは、ヤングケアラーの概念が日本では英国ほど十分に浸透しておらず、ヤングケアラー自身にケアしている意識が弱い可能性があると指摘しています。調査では、不安や抑うつの度合いなども調べており、ここからヤングケアラーは不安や抑うつの傾向が強いことがわかりました。半面で、進んで人を助ける傾向は強いことがわかりました。

研究グループは、ヤングケアラーの教育、福祉、保健領域での支援の必要性が示されたと指摘し、今後、ヤングケアラーの実態をより詳しく調べて、どういうケアをしている場合に心身の負担が強く、支援の必要性が高まるのかを明らかにしていくと説明しています。(遺伝性疾患プラス編集部、協力:ステラ・メディックス)

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