縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー、アセノイラミン酸による筋力低下の抑制効果を確認

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 有効な治療法がない希少疾患、遠位型空胞性ミオパチーへのアセノイラミン酸の効果を検証
  2. アセノイラミン酸服用で、48週時点での上肢の筋力低下が抑えられていることを確認
  3. 臨床試験の結果を受けてノーベルファーマが承認申請の準備を進めている

指定難病GNEミオパチー、国内で治療薬の医師主導治験が進行中

東北大学の研究グループは、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)を対象としてアセノイラミン酸の有効性を確かめた臨床試験において、上肢(両側の腕~手)の筋力低下を防ぐことができたことを発表しました。この結果を受けて、承認申請の準備が進んでいます。

GNEミオパチーとは、10代後半から30代にかけて発症することが多い希少疾患で、体幹から離れた部位から筋肉がやせていき(萎縮・変性)、次第に体の自由が失われていく病気です。国内の患者さんは400人程度と推定され、国の指定難病の一つになっています。

1981年に日本で世界に先駆けて臨床病型(病気の特徴など)が報告され、2001年にはその原因遺伝子がシアル酸代謝に関わることが見出されました。そして2010~2011年に、世界で初めて医師主導治験が国内で始まっています。この中で、研究グループは、シアル酸の一種であるアセノイラミン酸について、治療薬としての開発を進めてきました。

アセノイラミン酸により48週時点の上肢筋力の低下が抑えられた

今回結果が発表された臨床試験は、医師主導第2/3相試験および有効性確認試験でした。

医師主導第2/3相試験では、歩行可能なGNEミオパチー20人を対象として、アセノイラミン酸を1日6g服用したグループと、プラセボを服用したグループとで、上肢筋力の低下に違いがあるか調べました(プラセボ対照二重盲検試験対照試験)。その結果、アセノイラミン酸を1日6g服用したグループは、プラセボのグループよりも、48週時点の上肢筋力合計点数の低下(悪化)が抑えられていることが確認されました。

その上で、有効性確認試験として、GNEミオパチーの14人を対象として、同様に1日6g服用でのプラセボ対照二重盲検試験が実施され、改めて48週時点の上肢筋力の低下がアセノイラミン酸服用により抑えられることが確認されました。

研究グループは、「難病である遠位型ミオパチーに対する治療法を初めて提示できた」と説明。今回の結果を受けて、ノーベルファーマ株式会社が薬事承認申請を準備しています。(遺伝性疾患プラス編集部、協力:ステラ・メディックス)

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