血液細胞の減少、腕の骨の癒合を特徴とする病気
東北大学の研究グループは、橈骨尺骨癒合を伴う血小板減少症(RUSAT)と呼ばれる疾患の患者さんで同定された遺伝子変異を導入したマウスの作製に成功したと発表しました。
RUSATは、先天性骨髄不全症候群のうち、先天性血小板減少症に分類される遺伝性疾患で、骨髄において血液細胞が十分に作られず、出血が止まりにくい、貧血といった症状のほか、肘から下の腕(前腕)の二本の骨が異常に癒合することで、手をひねる動きができなくなる症状などが現れる希少疾患です。前腕だけでなく、心臓、腎臓、聴力、指などにも異常が見られる場合もあります。
研究グループは以前の研究において、RUSATの原因の一つとしてMECOM(EVI1)遺伝子を見つけていました。また、RUSAT患者さんで見つかる遺伝子変異はMECOM(EVI1)内でも特定の領域に集中していることがわかっており、その領域がRUSATの発症に重要であると考えられました。
血液におけるRUSATの症状を再現
研究グループは、患者さんでMECOM(EVI1)遺伝子に同定された、RUSATの変異が集中する領域に存在するH751Rと呼ばれる変異を持つ、疾患モデルマウスを作製しました。
作製されたモデルマウスの見た目は、オスのマウスにおいて体重が軽い傾向がありましたが、変異のないマウスと大きな違いはありませんでした。しかし、成長に従って血小板が減少し、血液細胞のもととなる造血幹細胞の減少が見られ、RUSATの症状を再現しました。研究グループが骨髄の細胞を減少させる薬剤を投与したところ、作製されたモデルマウスでは血小板と白血球の回復が遅れることが明らかになりました。
今回の研究で作製されたマウスの詳細をさらに解析することで、血液を作るメカニズムにおけるMECOM(EVI1)の機能や、関連する疾患の病態の解明と治療法開発につながることが期待できる、と研究グループは述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)