新しい血友病A治療薬「オルツビーオ」承認、週1回の補充療法で高い血液凝固活性を維持

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. 新しい血友病A治療薬「オルツビーオ」が国内製造販売承認を取得
  2. 高活性維持型の血液凝固第VIII因子製剤、成人と小児に対して週1回の定期的な補充療法で出血抑制効果を長期間持続
  3. 12歳以上の重症血友病A患者さん、12歳未満の小児患者さんを対象とした2つの試験で有効性と安全性を示した

血液凝固因子の働きが失われ、血液が凝固しにくくなる病気

サノフィ株式会社は、新しい血友病A治療薬「オルツビーオ(R)」(一般名:エフアネソクトコグ アルファ)が、日本で製造販売承認を取得したことを発表しました。

血友病Aは、血液凝固因子第VIII(8)因子の欠乏によって、血液が凝固しにくくなりさまざまな症状が引き起こされる遺伝性疾患です。血液中の凝固因子活性レベルが低いほど出血リスクが高く、重症となります。関節で出血が生じることによる関節障害や慢性的な痛みによって生活の質が損なわれることもあります。

オルツビーオは、高活性維持型の血液凝固第VIII因子製剤で、血友病Aの患者さん(成人および小児)に対して週1回の定期的な補充療法(静脈内投与)で、出血抑制効果の長期間の持続が期待できます。成人の患者さんでは、これまでの半減期標準型製剤や半減期延長型製剤と比べ、オルツビーオの半減期は3~4倍長いことから、1週間の大半で正常~ほぼ正常な範囲に活性を維持できます。オルツビーオは、米国では2023年2月に承認されています。

12歳以上・未満を対象にした2つの試験で良好な結果と安全性を示す

今回の承認は、12歳以上の重症血友病A患者さんを対象に行われた第3相XTEND-1試験と、12歳未満の小児患者さんを対象としたXTEND-Kids試験の2つの臨床試験で得られた、良好な有効性と安全性の評価に基づいて行われました。

XTEND-1試験では、オルツビーオ週1回投与による定期補充療法は、重症血友病A患者さんに対し優れた出血抑制効果を示しました。主要評価項目である年間出血率(ABR)の平均値は0.71、中央値は0.00で、重要な副次評価項目である既存の血液凝固第VIII因子製剤による前治療との比較では、ABRの77%減と有意な減少を示しました。

XTEND-Kids試験の最終結果では、オルツビーオ週1回投与を52週間受けた12歳未満の小児患者さん73人のABRの平均値は0.6、中央値は0でした。

これらの試験全体でオルツビーオの安全性が確認され、オルツビーオの投与後に血液凝固第VIII因子に対するインヒビターの発現は認められず、また発現頻度が10%以上の副作用は、頭痛と関節痛でした。

同社の岩屋孝彦代表取締役社長は、「オルツビーオの承認取得は、血友病A患者さんにとって大きな前進となる。オルツビーオは、週1回の投与で1週間の大半にわたり血液凝固因子の高い活性レベルを維持できる医薬品であり、患者さんや医師が抱く血友病患者の生活のイメージが大きく変わるだろう」と述べています。(遺伝性疾患プラス編集部)

関連リンク