従来システムは「被写体をカメラで写さなければ音声ガイドが動作しない」など課題
大阪公立大学を中心とする研究グループは、視覚障害がある方を支援する写真撮影システム「VisPhoto」を開発したと発表しました。
研究グループはこれまでに、視覚障害がある方の写真撮影をサポートするため、撮影支援のスマートフォン用音声ガイド付きアプリを提供してきました。しかし、従来の撮影システムの課題として、一度被写体をカメラで写さなければ音声ガイドが動作しない、被写体が複数あったり動いていたりする場合に上手く撮影できないといったことがありました。
写真に残したい部分を指示でピンポイントに切り出し保存
研究グループは今回、全方位カメラ(全天球カメラ)を用いることで、被写体にカメラを向けず簡単に撮影できる新システム「VisPhoto」を開発しました。
同システムでは、まず、全方位カメラを用いて周囲を撮影します。全方向(360度)を一度に撮影できるため、被写体が物陰に隠れていない限り、周囲の物体が写真に写ります。次に、全方位カメラで撮影した写真の中から、写真に残したいものを選択。AI技術の物体検出技術で、写真に写る物体の位置と名前をスクリーンリーダーで読み取り、音声や点字ディスプレイにより視覚障害がある方に伝える仕組みです。例えば、視覚障害がある方が、「バナナとオレンジを写真として残したい」と指示することで、バナナとオレンジが写った写真がピンポイントに切り出され、写真として保存されます。
同システムの開発により、被写体にカメラを向けることなく、簡単に写真撮影することが可能となりました。実際に同システムを体験した視覚障害がある方からは、「VisPhotoによって保存した写真が、どのように写っているかを知りたい」という声があったとのこと。研究グループは今後、この課題を解決すべく研究を進めていくとしています。(遺伝性疾患プラス編集部)
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