BWCFF症候群、口唇口蓋裂発症に関わる新たなメカニズムを発見

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. BWCFF症候群は口唇口蓋裂など、さまざまな症状が全身に現れる希少疾患
  2. 患者さんで原因遺伝子であるアクチンの新たな変異を発見
  3. モデル動物、培養細胞を用いた実験で口唇口蓋裂発症との関連を解明

BWCFF症候群はアクチン遺伝子の変異によって起こる希少疾患

広島大学は、「Baraitser Winter cerebrofrontofacial(BWCFF)症候群」で見られる口唇口蓋裂(唇や上あごに裂け目ができる先天性の症状)の発症に関わるメカニズムを明らかにしたと発表しました。

BWCFF症候群は、アクチンと呼ばれるタンパク質の設計図となる遺伝子に生じた変異によって、主に脳、顔、および骨の発達に影響が出る非常にまれな遺伝性疾患です。アクチンは、細胞の形を保ったり、動いたりするために重要な役割を果たしています。BWCFF症候群の原因がアクチン遺伝子の変異であることはわかっていましたが、口唇口蓋裂など、さまざまな症状が引き起こされるメカニズムには不明な点が多く残されていました。

口唇口蓋裂の発症にアクチンの異常な分布が関わる可能性が明らかに

研究グループは、口唇口蓋裂を発症するBWCFF症候群の患者さんで、これまでに知られていなかったアクチン遺伝子の変異(バリアント)を発見しました。この変異を詳しく調べるため、遺伝子組換え技術を用いて、同じ変異を持つモデル動物を作製しました。その結果、正常な動物と比べて口の幅が狭くなり、口唇口蓋裂に似た症状を示すことがわかりました。また、培養細胞を使った実験によって、変異したアクチンは細胞内での位置や分布が正常なアクチンとは異なることが示され、アクチンの異常な分布が口唇口蓋裂の発症に関わる可能性があることが明らかになりました。これらの研究成果は、BWCFF症候群の理解に役立つだけでなく、口唇口蓋裂の新たな診断法や治療法の開発への貢献が期待されます。(遺伝性疾患プラス編集部)

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