PURA症候群

遺伝性疾患プラス編集部

英名 PURA syndrome
別名 PURA関連神経発達異常症(PURA症候群はこれに含まれる)
世界の患者数 300人以上
頻度 発達遅延症例の1%未満と推定
子どもに遺伝するか 遺伝する(常染色体優性遺伝)
発症年齢 生まれつき
性別 男女とも
主な症状 知的障害、発達遅延、筋緊張低下、摂食困難、てんかんなど
原因遺伝子 PURA遺伝子
治療 対症療法
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どのような病気?

PURA症候群は、軽度から中等度の神経発達障害を特徴とする遺伝性疾患です。この病気のほとんどの人は、言葉を話すことができません。他人の話を理解する能力よりも、自分から話をする能力の方が、より強く病気の影響を受けるとされています。また、一人で歩くことができない人も多く、運動発達が遅れているため、歩き始めるのが遅い人もいます。

乳児期には、筋緊張低下、呼吸困難、哺乳困難、過眠、低体温などが見られます。無呼吸(呼吸が短く止まる)または低換気(呼吸が異常に遅い)を起こす可能性がありますが、こうした呼吸の問題は通常、1歳頃までに治まります。一方、嚥下障害は一生続く可能性があります。

PURA症候群では、再発性発作(てんかん)も一般的に見られます。発作は通常、5歳前にミオクローヌス(制御不能な筋肉のけいれん)が起こることで始まります。意識喪失、筋肉の硬直など、てんかん以外のタイプの発作が起こることもあります。PURA症候群で起こる発作は、コントロールが難しい場合もしばしばあります。

その他、先天性心疾患、視力・視覚障害、泌尿生殖器の奇形、胃腸の問題(便秘など)、脳波の異常、過度なしゃっくり、骨格の問題(脊柱側弯症、股関節形成不全、低身長など)、ホルモンの問題(思春期早発症、ビタミンD低値など)等の異常や、特徴的な顔立ち(ミオパチー様顔貌など)が見られる場合があります。

PURA症候群は、発達遅延症例の1%未満と推定されるまれな疾患ですが、米国国立医学図書館が運営するMedlinePlusの情報によると、これまでに70人以上の報告があるとされています。さらに、PURA症候群財団(PURA Syndrome Foundation)のウェブサイトによると、2019年10月時点で、世界中で300人以上の診断例があり、今後ゲノム解析(エクソームシーケンス)が進むにつれ、PURA症候群と診断される人は、より増えると予想されています。とはいえ、人数が少ないため、まだ生命予後など、この病気について多くのことがわかっておらず、現在、国際的な研究が進められています。PURA症候群財団のウェブサイトには、お子さんから成人まで、PURA症候群の20人以上の方々の紹介文が、写真付きで公表されており、病気の経緯を知ることができます。

何の遺伝子が原因となるの?

PURA症候群は、5番染色体の5q31.3という位置に存在する「PURA遺伝子」の異常によって引き起こされます。この遺伝子は、「Pur-alpha(Purα)」と呼ばれるタンパク質の設計図となる遺伝子です。このタンパク質は、DNAやRNAにくっつくことで、遺伝子の働きを制御したり、DNAの複製を助けたりするなど、細胞内で複数の重要な役割を担っています。

Purαタンパク質は、特に正常な脳の発達に重要で、神経細胞(ニューロン)の成長と分裂に関わっています。また、神経細胞を覆い、神経のシグナルが効率よく伝達するために重要な「ミエリン」の形成や成熟にも関与している可能性が考えられています。

PURA遺伝子の変異は、正しく機能するPurαタンパク質の量の減少につながると考えられています。Purαタンパク質の機能が失われることで、どのようにPURA症候群の徴候や症状が起こるのかはまだ解明されていません。しかし研究者は、Purαタンパク質の量の減少が正常な脳の発達を妨げ、ニューロンの機能を損なうことで、PURA症候群の症状につながっている可能性があると考えています。

PURA遺伝子の全部または一部を含む、5番染色体長腕の5q31.3という領域が欠失している「5q31.3欠失症候群」でも、PURA症候群と同様の症状が起こります。PURA症候群と、5q31.3欠失症候群を合わせて「PURA関連神経発達異常症」と呼ばれています。

Pura症候群

PURA症候群は、常染色体優性(顕性)遺伝形式で遺伝します。しかしほとんどの場合、両親には変異がなく、その子どもで新たに起きた変異(新生変異、孤発例)となっています。

Autosomal Dominant Inheritance

どのように診断されるの?

PURA症候群の正式な臨床診断基準は、今のところ公表されていません。乳児における筋緊張低下、新生児低換気、低体温、過眠、胃食道逆流症(GERD)を含む哺乳障害、年長児において筋緊張低下、発語の欠如を含む中等度から重度の知的障害、けいれん、非てんかん性異常行動(ジストニア、ジスキネジア、非共同性眼球運動)などの臨床所見が見られることでPURA症候群の可能性が疑われ、遺伝学的検査によって、PURA遺伝子の異常が確認された場合、PURA症候群と確定診断されます。

日本では、診断がついていない患者さんの遺伝子を解析して診断につなげるための国家プロジェクト「未診断疾患イニシアチブ(IRUD)」により、PURA症候群が診断された例もあります。

どのような治療が行われるの?

今のところ、PURA症候群を根本的に、つまり、遺伝子から治すような治療法は見つかっていません。そのため、それぞれの症状に合わせた対症療法が中心となります。

例えば、低換気に対しては夜間の酸素使用や必要に応じて気管切開など、先天性心疾患に対しては状況に応じて手術などの適切な治療、ビタミンD欠乏症に対してはビタミンDの服用など、その人の症状に応じて複数の診療科により適切な治療が行われます。

また、言語療法、理学療法、作業療法、食事療法など、早期の介入が重要とされています。

どこで検査や治療が受けられるの?

日本でPURA症候群の診療を行っていることを公開している、主な施設は以下です。

※このほか、診療している医療機関がございましたら、お問合せフォームからご連絡頂けますと幸いです。

患者会について

難病の患児・ご家族、支えるさまざまな立場の方々とのネットワークづくりを行っている団体は、以下です。

参考サイト

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

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