【南】の専門医・知念安紹先生より、読者のみなさんへメッセージ

遺伝性疾患プラス編集部

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琉球大学小児科の知念安紹と申します。昨今の「希少疾患」について大まかなお話をしたいと思います。希少疾患の原因となる遺伝子について、遺伝子解析の技術が急速に進歩するに伴い、遺伝子診断が臨床現場に向けられ、臨床診断とあわせて遺伝子診断されるようになりました。それと同時に、病気の原因がわかって、動物モデルなど多くの試行錯誤を繰り返し、そこで発見された治療法が臨床の現場に導入されるという時代についに突入しました。これがまたさらに、5年、10年経ってどういう展開があるのか、まだ先は読めませんが、私は、すごく明るい未来があるのではないかと期待しています。

今まで原因がわからず、なかなか治らなかった病気の治療が、少しでも良い方向に行くんじゃないかなと思います。現段階は、まだ僕は過渡期だと思っています。今から我々を含め皆さん方で、「希少疾患」「難病」と言われる疾患を共有して、未来を作っていく時代です。ですので、皆さんもそれぞれ参加して、患者さん登録とか、あるいは、研究をしている先生方に情報を提供したり、あるいは、お薬の開発に協力していただいたりしながら、次の世代に向けて新たな時代を作っていただけると信じております。

今、現状、皆さんがなかなか専門家を受診されないという問題もいろいろあります。これはなかなか簡単に解決できない課題かもしれませんが、ただ皆さんの(疾患についての)認知度が少しずつ上がって、実は、詳しく見れば、「それぞれの人生って、それぞれあるんだ」ということをみんなが認め合う、そういった社会というものができないかなと思います。私からは以上です。

【南】の専門医:知念安紹先生

琉球大学 大学院医学研究科 育成医学(小児科)講座 診療教授。博士(医学)。琉球大学医学部を卒業後、同大医学部附属病院助手、講師、同大大学院医学研究科育成医学講座准教授等を経て、2022年より現職。日本小児科学会専門医・指導医、日本人類遺伝学会臨床専門医・指導医。