【北】の専門医・櫻井晃洋先生より、読者のみなさんへメッセージ

遺伝性疾患プラス編集部

「東西南北の専門医が徹底討論!「お住いの地域における受診のお困りごと」」Topに戻る

札幌医科大学の櫻井です。難病の患者さん、あるいはご家族の方々のご苦労は、私もいろいろなところで聞かせていただきますし、全部を把握してるわけではないですけれども、そういったご苦労を少しでも軽くできるように、解決できるようにと、私どもは微力ながら努力をしてきたつもりでおります。

診断・治療については、他の先生方もお話をされていましたので、私は、「患者さん・ご家族の当事者の会」に触れます。診断がついてる方それぞれの当事者の会も結構多くの疾患でありますし、あとは、診断がついていない方が集まれるような会というのも、実際にはあります。

「そういった会って一体どんな役に立つんだろう?どんなもんなんだろう?」というふうに考えられる方も多いのではないかと思いますが、一度、顔を出してみられることを私としてはおすすめしたいと思います。当事者の会というのは、その当事者の人たちがただ集まっているだけではなくて、そこで正しい情報を共有するという非常に大きな効果があります。

大抵の場合には、そこにアドバイザー的な専門医がついていますので、そこに行けば正確な情報(ネットでもいろんな情報があったりしますが、必ずしも正しくなかったりするので)、そういったものに触れることが、あるいは、得ることができます。

それから、患者さんにしてもご家族にしても、24時間病気とだけ付き合ってるわけではなくて、その病気と付き合う生活の中でのいろいろな困りごとなどがあると思います。それを同じ境遇の人たちがどのように乗り越えているか?どのように対応しているか?という、いわゆる生活の知恵をシェアできるというのも、一つ大きな、当事者の会での効果といいますか、メリットではないかというふうに思います。

そして、3つ目には患者さんお一人おひとりの訴え、あるいは要望は、なかなか小さくて、主治医止まりであって、それ以上のところには届きにくいのですが、グループ、当事者の皆さんとしての声というものは、これは非常に大きなものになります。

それは、「医療者へ向けて」でもありますし「社会へ向けて」ということもありますし、あるいは「行政へ向けて」というようなこともあるかと思います。一人の声は小さくても、それがグループになれば、大きな力になるということもあります。その力の成果として、先ほど齋藤先生がおっしゃっていたような新しい知見とか治療・診断法、そういったものにつながっていく可能性もあるわけです。

ですので、もちろん「みんな入りなさい」と言ってるわけではないですけども、そういったものに「どんなものなんだろうか?」と、まだ関わっておられない方は、ちょっとのぞいてみることも(のぞいてみて合わなかったら入らなければいいだけの話ですので)、何かの役に立つ可能性があるんじゃないかなというふうに思います。私からのメッセージ・コメントは、以上です。

【北】の専門医:櫻井晃洋先生

札幌医科大学 医学部 遺伝医学 教授。医学博士。新潟大学医学部医学科を卒業後、シカゴ大学医学部甲状腺研究部研究員、信州大学医学部附属病院助手、助教授/准教授等を経て、2013年より現職。日本遺伝カウンセリング学会理事長、日本人類遺伝学会前理事、日本遺伝子診療学会理事、日本内分泌学会理事、臨床遺伝専門医・指導医、内分泌代謝科専門医・指導医。