ハンチントン病に対する希少疾病用医薬品に「RG6042」が指定される

遺伝性疾患プラス編集部

POINT

  1. ハンチントン病を根治する薬は今のところなく、対症療法のみ
  2. RG6042は原因タンパク質の産生を抑え、病気の進行の遅延や抑制が期待される薬
  3. 現在、第3相国際共同治験を実施中

根治療法の開発が望まれるハンチントン病

ハンチントン病を予定適応症として、中外製薬株式会社が開発中の「RG6042」という薬が、厚生労働省から希少疾病用医薬品の指定を受けました。

この病気は、舞踏運動を主体とする不随意運動(意識的でなく手などがちょこちょこと踊っているかのように動く)、精神症状、認知症などの症状を伴う遺伝性疾患です。ハンチンチン遺伝子の変異が原因と知られており、この変異遺伝子から作られる変異型ハンチンチンタンパク質が毒性を示すと考えられています。ハンチントン病は、今のところ根治治療がないため、不随意運動や精神症状に対する対症療法が一般的に行われています。国内の患者さんの数は平成29年度特定医療費受給者証所持者数が900人で、有病率は人口10万人あたり0.7人とされています。

原因とされる変異型ハンチンチンタンパク質の産生を抑制する薬

RG6042は、変異型ハンチンチンタンパク質(mutant huntingtin protein:mHTT)の産生を抑制するように設計された薬剤。この薬を使用することにより、ハンチントン病の進行を遅らせたり、抑えたりする効果が期待されます。

現在、第3相国際共同治験を実施中のこの薬は、2015年に欧州と米国で、ハンチントン病の治療薬として希少疾病用医薬品の指定を受けました。2018年には欧州医薬品庁(EMA)よりPRIME(PRIority MEdicines)に指定されています。

日本における希少疾病用医薬品とは、医薬品医療機器等法に基づき厚生労働大臣から希少疾病用医薬品として指定を受け、優先的に審査される医薬品のこと。指定には、当該医薬品の用途に係る対象者数が日本において5万人未満であること、重篤な疾病を対象とするとともに、代替する適切な医薬品または治療法がない、など諸条件があります。(遺伝性疾患プラス編集部)

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