機能的なジストロフィンタンパク質の産生を促す治療薬
日本新薬株式会社は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(以下、DMD)治療剤「ビルテプソ(R)点滴静注 250mg」(一般名:ビルトラルセン)の国内販売を開始しました。令和2年3月25日に厚生労働省より製造販売承認を取得し、同5月20日に薬価収載されて保険適用となり、発売されました。薬価は、250mg/5mLバイアルあたり9万1,136円です。
DMDは、筋肉細胞を支えるジストロフィンタンパク質の遺伝子変異が原因で、正常なジストロフィンタンパク質が産生されず筋力が低下する、主に男児に発症する進行性の遺伝性筋疾患。これまでは、対症療法としてステロイド剤の投与が行われてきましたが、DMDの発症原因となるジストロフィンタンパク質の産生を促す薬剤はなく、新たな治療剤が期待されていました。
DMDのうち特定の遺伝子変異をもつ患者さんに効果が期待できる核酸医薬品
今回発売された薬は、遺伝子からタンパク質が作られる仕組みのところにはたらく「核酸医薬品」という新しいタイプの薬で、DMDのなかでも「ジストロフィン遺伝子のエクソン53スキップに応答する遺伝子変異をもつ患者さん」に対して効果が期待される薬です。
同剤は、1バイアル(5mL)中にビルトラルセン 250mgを含有する水性注射液。DMD患者さんの筋肉中にある、変異したジストロフィン遺伝子のエクソン53をスキップさせることにより、機能のあるジストロフィンタンパク質の産生を促す医薬品です。通常、80mg/kgを週1回、1時間かけて静脈内投与します。
なお、同剤の国際共同第3相臨床試験は実施中です。